平成最後の天皇誕生日、一般参賀。2時間半立ちっぱなしで待ち続け、11時50分、さあ、いよいよ。 「天皇陛下万歳!」 声を上げたのは、民族派新右翼団体「統一戦線義勇軍」議長の針谷大輔さん(53)。朝6時半までタクシーに乗務し、30分仮眠して駆け付けた。「万歳!」。メンバーが後に続くが、広がりはない。会場を満たすのは日の丸の小旗が振られる音。パタパタパタ。皆が息を合わせて振り、下ろし、お言葉に静かに耳を傾け、粛々と帰途につく。 ■格差拡大と「成熟」 「最後だから、実物を見てみたいと思って」と話す、平成元年生まれの女性2人組。「こんな大変なイベントとは思ってなかった」と、ディズニーランドの待ち時間と比較していた20代前半くらいの男性グループ。 熱狂はない。屈託もない。 「つまり、『自然』ってことですよ」。針谷さんは滔々(とうとう)と語る――世の中は足早に変わる。人は自分の存在意義がわからず不安に