ここ5年ほど、日本でも海外留学への関心が高まっている。経済的に敷居の高い日本から米国への学部留学も増加する可能性がありそうだ。そこで、一大学教員として、米国の学部教育の現場で感じていることを書いておこうと思う。 アカデミックな意味で大学生活を成功させるためには、有名大学に入れるかどうかとか、入ってから一生懸命勉強するかとか、いろいろな要素がある。しかし、私は「入学までにきちんとした基礎知識をつけてくるかどうかが成否のほとんど全てを決めると言っても過言ではない」と考えている。それは入学時の基礎学力が、大学のリソースをどこまで活用できるかを決めてしまうからである。 米国の多くの大学では、日本の大学生と比べて入学者の学力のばらつきが非常に大きい。超名門校においても下位層の学力は日本の一流国立大の足許にも及ばないし、私のいるWS大に至っては「学部生の半分は100の平方根が50だと思っている」という