三菱重工業は今、抜本的な構造改革を行っている。ついに発祥の地、長崎造船所(長崎市)で手がけている大型客船事業から撤退することを10月18日に発表した。長崎の地で今、何が起きているのか。週刊エコノミスト編集部の酒井雅浩記者が報告する。 大型客船は三菱重工の祖業の造船事業の中核だ。だが宮永俊一社長は10月18日の記者会見で「コスト的にも成り立たない」と述べた。 宮永社長の決断をある同社幹部は「踏み込んだ対応もためらわないという内外へのメッセージ」と解説するものの、「あせりがあるのでは」(格付け会社アナリスト)とみる市場関係者も多い。「今の重工には先を見据える余裕がなく、出血を止めることを優先せざるをえなかった」との厳しい評価がある。