恋バナ収集ユニット「桃山商事」の一員として、人々の失恋体験や恋愛相談に耳を傾け、そこから見える恋愛とジェンダーの問題を発信している清田隆之さん。彼が現代における「男性性」の問題ととことん向き合ったのが、自身初のエッセイ集である『さよなら、俺たち』(STAND!BOOKS)だ。 日本は「ジェンダー・ギャップ指数」で今年、過去最低の121位(153カ国中)を記録した“ジェンダー後進国”ではあれど、それでも若い世代ではジェンダーに対して意識の高い男性が少なくない。そんな男性たちのあいだで起きている変化について、同書の一部を抜粋・再構成しお伝えしたい。 「思い起こすのもおぞましい行動」 以前、東北地方の大学に通う男子学生(Sさん)からこのような相談を受けた。3年生である彼は登山サークルで幹部の役職に就いており、トレーニングのメニューを考えたり、人間関係を調整したりという職務を担っていた。 ある時、