<北海道大学教授が中国で拘束されたと報じられているが、日本政府に救出への積極姿勢は見られない。日本は「スパイ天国」。中国があざ笑っている> 今年1月16日午後1時。私は東京・国会議事堂に近いある高級ホテルのカフェにいた。他人の会話を盗み聞きする気はなかったが、隣の席から中国人特有のイントネーションでまくし立てる日本語が聞こえてきた。中国人女性と日本人の初老男性が、コーヒーとケーキを前にして真剣な表情でやりとりしている。 「とにかく自民党の有力な議員たちに働き掛けていただきたいです」と、女性は満面の笑みで迫る。「わしはもう引退しているので、そんな力はないよ」と、男は応じる。 「ぜひ、習主席を新しい時代の最初の国賓として呼んでほしいです」 「それは難しいだろう。日本はもうトランプさんを呼ぶと決まっているし」 「主席の訪日に向けて、良い雰囲気を日本国内でつくってほしいです」 女性は男の手に自分の