飢えた野獣のような演技で一世を風靡(ふうび)した俳優の菅原文太さんが81年の生涯を閉じた。男がほれるアウトローをリアリティーたっぷりに演じ、広く大衆に愛された。先月10日には、やはり日本を代表する俳優の高倉健さんが亡くなったばかり。相次ぐ名優の訃報に、映画ファンや関係者の間に驚きと悲しみが広がった。 広島やくざ抗争の実態をつづった元暴力団組長の獄中手記を映画化した「仁義なき戦い」シリーズで、東映の任侠(にんきょう)・やくざ路線の看板スターとなった。それ以前の東映は鶴田浩二さんや高倉さんら、着流しスタイルの任侠映画が主流だったが、菅原さんの活力ある“与太者”が主人公の実録タッチが主流になっていく。 「仁義なき戦い」が上映されたのは昭和48年。当時は全国の大学や高校で学生運動が盛んに行われていた。「仁義なき−」はエネルギッシュなチンピラたちの群像劇で、菅原さんが演じた広能昌三は欲望をギラギ
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