失敗は絶対に許されない。1943年のノルウェーで行われたガンナーサイド作戦は、そういう作戦だった。だからこそ、クヌート・ハリケードは命に替えてもこの作戦を成功させると決意し、その口中に青酸カリ入りのカプセルを仕込んでいた。ハリケードはこの作戦の成否が世界の行末を左右すると信じていたのだ。 ノルウェーにあるヴェルモク水力発電所の破壊を目的としたガンナーサイド作戦が、なぜそれほどまでに重要だったのか。それは、重水を大量生産できる施設は世界でもこのヴェルモクだけであり、この重水を使用してドイツが原爆開発を進めていたからだ。ガンナーサイド作戦直前にも同様の破壊工作を試みた連合国側は、何の成果をあげることもなく34人のイギリス兵の命を失っていた。それでも、この作戦は決行されなければならなかった。ヒトラーが原爆を手にする、この未来だけはどれだけの犠牲を払ってでも避けなければならなかった。 本書では、こ
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