コンマゲネ王国のアンティオコス1世の霊廟でかつて立っていた巨像の頭部は現在、自身の体の前に置かれている。トルコのネムルト山にある遺跡の東側テラスにて。(Yasin Akgul/Getty Images) トルコ東部のネムルト山の頂上には「世界八番目の不思議」がある。もちろん、その候補のひとつということだが、標高2000メートルを超える山の頂にあるのは、古代の王の墓とされる塚(マウンド)を10体の巨大な像が囲む孤高の聖域だ。古代のギリシャとペルシャ両方の遺産を受け継いだ壮大な石の建造物には、その宗教と埋葬の慣習が色濃く表れている。 現在のトルコ南東部の山岳地帯に位置するコンマゲネは、ヘレニズム時代はシリア王国(セレウコス朝)の属州だった。ヘレニズム時代をもたらしたアレクサンドロス大王が紀元前323年に死去すると、マケドニア軍の将軍セレウコス1世ニカトールがこの地域を支配する。(参考記事:「ア