詩人アンドレ・ブルトンが『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』を刊行し、シュルレアリスム運動が公的に開始されたのは1924年のことである。本年はそこからちょうど100周年にあたる。これに合わせ「所蔵作品展 MOMATコレクション」の一室において、「シュルレアリスム100年」と題された展示が行われた。会場にはヨーロッパ、アメリカ、日本のシュルレアリスムとその周辺の作品および同時代資料が展示され、新収蔵のマックス・エルンストによるフロッタージュ作品《砂漠の花(砂漠のバラ)》(1925年)も初めて公開された[図1、2]。 フロッタージュとは支持体の下に置かれたものを上からこすることによって転写する技法であり、そこで定着されるのはあくまで物質的痕跡である。《砂漠の花》においてエルンストは様々な操作を行うことによって、この物質痕跡を女性の身体(同時に男性器に見えなくもない)のイメージに変換している。ここ