"義賊大国"ハンガリー、その社会的背景 弱きを助け、強きを挫く。農民の味方・正義の義賊。 世界各地に義賊はいるのですが、特に義賊の数が多く社会や文化に根ざしていたのが中央ヨーロッパとバルカン諸国。 このブログでは初期の頃に、18世紀〜20世紀の義賊を紹介する記事を書いており、スロヴァキアのユライ・ヤーノシークや、ハンガリーのロージャ・シャーンドル(上記写真)についても言及しました。 今回のテーマは、なぜこれらの地域で義賊がたくさん出現したのか、です。 1. なぜ盗賊は発生するか 世界的な義賊研究の権威E.J.ホブズボームによると、 盗賊が「義賊」として認識されるには以下の要因があるそうです。 農民社会の周縁部に生き、いつでも元の農民に復帰できること 義賊になるきっかけが名誉なものであること 豊かなものから奪い貧しいものに与えること 無意味な殺害はしない、悪を正すということ そして義賊は、部