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ブックマーク / yoghurt.hatenadiary.com (5)

  • 祖父の長い旅 - 未来の蛮族

    土曜の夜は、祖父母の家で夕を過ごすことになっていた。 波の上という街に住む祖父母の家には、泊大橋という橋をこえていかなければならない。橋から見下ろす港にはたくさんの貨物船が止まっていて、なぜかそれらの甲板には決まって大きな犬がいた。 どうすれば船のうえで犬を飼うことができるのだろう? 子供ながらにそう思っていたし、それは今でも解くことのできない疑問だ。もしかすると、あれは夢でみた風景だったのかもしれない。 祖母がくれるお菓子はいつも亀田製菓の「雪の宿」だったこと、テレビにはクイズダービーが映しだされていたこと、祖父母と同居するS叔父が僕たち兄弟に折り紙を教えてくれたこと、幼い時分の記憶はどれも断片的で、はっきりせず、たよりない。 なかでも祖父の記憶はおぼろげだ。 僕がかろうじて覚えているのは、部屋の片隅で、しずかに泡盛を飲む祖父の姿だ。ほんとうに水のように酒を飲む人で、それで乱れるという

    祖父の長い旅 - 未来の蛮族
    gnt
    gnt 2012/12/03
    家族史学。
  • バカが床屋談義して、何が悪いの? - 未来の蛮族

    バカな人間は喋ってはいけない。無力な人間は何もするべきではない。優秀な僕たちの邪魔になるからね。 これはおれの被害妄想である可能性が高いんだけど、どうもそこかしこでそんなことを言われているような気がしてならない。 バカと暇人のものであったはずのインターネットにまでこうした論理が幅をきかせるようになった気がして、おれはとてもさびしい。まあ、皆の言わんとすることもわからないじゃない。自分の専門分野で、まったく見当違いなことをわあわあ喚かれたら、うっとうしくもなるだろう。バカはたいていこれまで議論の前提を無視して話をはじめてしまうし、自分の感性に無意味な自信を抱いているもんだから、もう全く勉強なんてしないもんな。最近の世の中の動きからすると、バカが好き勝手に喋りだすことは「うっとうしい」を超えて「恐ろしい」の領域に足を踏み入れているような気もするし。 それで、みな「バカは黙れ」っていうわけだ。

    バカが床屋談義して、何が悪いの? - 未来の蛮族
    gnt
    gnt 2012/03/23
    バカは「フィルタリング」ってのがそもそもできないんだよ
  • ぜんぶ、ストIIのせい - 未来の蛮族

    USSR!飛行機がザンギエフステージに向けて飛び立つ瞬間に鳴り響く、あのボイス。 USSR。幼かった僕は、それがソヴィエト連邦の略称であることさえ知らなかった。 僕の辞書はナポレオンもびっくりするほど白紙のページばかりで、不可能も可能も全く掲載されてはいなかった。これから書き込んでいかなければならないことが山ほど残されていた。そんな僕が知っていた、数少ない真実。 それは、ストリートファイターに登場するキャラクターは、みな最高だということだった。以前、SNKのキャラクターデザインのことを、口を極めて罵ってしまった僕だけれども、格闘ゲーム界のもう一方の雄であるCAPCOMの「ストリートファイターII」のキャラクターデザインについては、悔しいけれど・おまえに夢中と言わざるをえない。 ダルシム、ブランカ……ほんとうに、僕は彼らが大好きだったのだ。 *1 けれど、彼らのことを思うとき、少し後ろめたく

    ぜんぶ、ストIIのせい - 未来の蛮族
    gnt
    gnt 2009/08/17
    誠実であるということ。リュウケンがいる以上、Eホンダはどこまでも言い訳にすぎないだろう。/あとエロな。春麗にサバオリかけるのはやっぱりエドモンドの仕事
  • アルパカ、君は美しい - 未来の蛮族

    もうずっと、おれは君に彼らのことを語りたくってしょうがなかった。この、光にあふれた美しい生き物のことを。こうやって君に手紙を書いている、今、この瞬間にだって、おれの喉の奥では彼らを讃える賛辞たちが爆発寸前で待機しているくらいだ。ほんとうに、おれはあれほど美しい生き物にあったことはなかったんだ。 子供のころは、なんとなく来世も人間に生まれ変わるのだろうと思っていて、そのことに特に不満も持っちゃいなかったけれど、彼らに出会ってしまった今となっちゃ、もう人間なんてまっぴらごめんだぜって気分さ。これは掛け値なしにほんとうのことだぜ。 おれはもう、彼らに生まれ変われないのなら、何にだってなりたくはない。少なくとも生き物はもう無理だな。虹の粒子や、風の断片、そういった微かな何かになるのなら、まだ考えてやっても良いが、それらにしたって彼らに比べればゴミクズみたいなものさ。 これほど素晴らしい彼らのことを

    アルパカ、君は美しい - 未来の蛮族
    gnt
    gnt 2008/11/11
    翻訳文体良いなあ。/友人で「アルパカは架空の生物」とつい最近まで思いこんでたやつがいた。
  • 大統領と握手 - 飲めヨーグルト

    もう、ずいぶんと昔の話になってしまうのだが、僕は大統領と握手をしたことがある。大統領と言えば、もちろんそれはアメリカ合衆国大統領にほかならない。これはたまたまトイざラスで買い物中の大統領に出くわした……とかいうわけではない。2000年に開催された九州沖縄サミットの際、当時のアメリカ合衆国大統領ビル・クリントンが糸満の平和記念公園で沖縄県民に向けて演説をする、というイベントがあったのだ。演説終了後には、大統領と地元の高校生たちが友好的に握手を交わす、という場面があらかじめ用意されており、当時まだ沖縄の高校生だった僕も、握手用のモブとして選ばれたのだった。僕は当時、料金以下のマズイめしをわせるレストランでさえも気前よくおかわりをオーダーしてしまうような、いわゆる優等生のレッテルをはられた存在であったから、こうした役割にはうってつけだったのだろう。最初のうち、僕はこのことについてとくに何も考え

    大統領と握手 - 飲めヨーグルト
    gnt
    gnt 2008/05/07
    すばらしいエントリ。彼の無力感は僕たちの喪失感と相同ではないだろうか?「負けることすらできない我ら」考えてみる
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