最低賃金15ドルへの闘いの文字が記されたTシャツを着る活動家=2019年7月/Alex Wong/Getty Images 最低賃金を時給15ドル(約1580円)へと引き上げる闘いは、低賃金労働者に十分な生計を立てさせ、貧困から救い出す可能性のある方法として歓迎されている。この主張は合理的なように聞こえるが、実は2つの暗黙の仮定に基づいている。貧しい人は現在働いているという仮定と、最低賃金が引き上げられても働き続けられるという仮定だ。残念ながら、どちらの仮定も現実的ではない。 第1に、人々を貧困に閉じ込めているのは低賃金ではない。雇用の完全な欠如だ。2019年、失業率が記録的に低い水準の中でも、貧困層の成人の7割は全く仕事がなかった。貧困層のうち年間通してフルタイムの仕事があった人はわずか10%だった。貧困層の83%に障害がないことを踏まえると、働いていない人々の大部分は、働ける身ではある