ミニマリストがどのようなことを語っているのか読んでみた。 はじめて読む人は、こんな考え方があるのかと新しい世界に目を啓かれると思う。われわれはふつうモノや所有にたいして疑問をもったり、問いかけたりしてこなかったからね。 ミニマリストは2010年あたりからひんぱんに言葉にされるようになったそうだが、わたしはすでにヘンリー・ソローとか『清貧の思想』で日本のミニマリストの系譜をたどっていたので、顧みる必要はないと思っていた。 ただ、これは若者の消費離れやさとり世代、断捨離や片づけ本の流れから、必然的にいたりつき、この戦後ずっとつづいてきた物質消費社会の根底を侵食してゆくのではないかと無視できない存在に思えてきた。 知識社会とよばれるものは、物質に価値をおかない。そのことによって知識や精神の崇高さや至上性を表明できるからだ。われわれは物質や所有でマウントや競争を競った時代から、モノにいっさい価値を