2017年4月。コンピュータ将棋ソフトとプロ棋士が戦う「将棋電王戦」で、現役の名人が将棋ソフト「PONANZA(ポナンザ)」に敗れるという“事件”が起きた。 今ビジネスの世界では、人間の業務をAIに代替させる動きが進んでいる。すでに一部の信託銀行では、株の売買予測はAIに任せて、人間は顧客との信頼関係作りにいそしむなど、役割分担が始まっている。ビジネスであれば、こうしたAIと人間のすみ分けは可能だ。しかし、将棋の世界はどうか。コンピュータ将棋ソフト(以下、コンピュータ将棋)に勝てなくなったとき、プロ棋士はどのように将棋と向き合うのか。日本将棋連盟(以下、将棋連盟)に所属するプロ棋士であり、コンピュータ将棋にも造詣が深い西尾明六段に話を聞いた。 ※本記事の段位、タイトル称号は2017年12月時点のものです。 直感と分析で最善手を探すプロ棋士 将棋は、縦横9マスの盤上で互いに駒を動かし、相手の