1963年のケネディ米大統領暗殺事件は、ベトナム戦争の泥沼化や社会の分断を招き、米戦後史の大きな転換点となった。ケネディを敬愛するジョー・バイデン次期大統領が2021年10月、関連の機密文書を全面公開する見通しだ。果たして真相解明の可能性は――。 バイデン次期大統領にとってケネディは「伝説の星」 年配の米国人は、1963年11月22日のケネディ暗殺事件をどこで聞いたか記憶している。当時、デラウェア大学の2年生だったバイデンは『アメリカはJFK暗殺を記憶する』(2013年)という著名人の著作集に短文を寄稿した。 「今も鮮明に記憶している。金曜日の午後で、暖かい日だった。授業が終わり、ホールから外へ出ようとしたら、誰かが『大統領が撃たれた』と叫んだ。キャンパス内に車を止めていたので、友人3人で車まで走り、カーラジオを付けた。信じられない思いだった。30分後か1時間後、大統領の死亡が伝えられた。