ドゴン族の神話が外部に紹介されるようになったのは20世紀に入ってからであり、フランスのマルセル・グリオールらの研究者が『水の神 - ドゴン族の神話的世界(1948年)』を始めとするその研究の成果を発表した。ドイツの民族学者イエンゼン(英語版)は、農耕民族には天上から穀物を運びだして農業を始めた神話が多いことに着目し、特にドゴン族の神話はそれを代表するものとして発表した[3]。だが、彼らの採集した神話もドゴン族に伝わる神話をすべて網羅したわけではなく、グリオール自身も「20年間の研究をもってしても、ドゴンの神話の広がりをまとめあげることができなかった」と言葉を残している[4]。採集を進められた現在に至っても、異なる内容の神話が発見されている。その背景にはドゴン族固有の「地方」と「父系血縁集団」が影響している[2]。ドゴン族の神話は口述で伝えられているが、長以外に神話の全てが伝えられることはな