独立系の映画会社が製作・配給する日本の低予算成人映画、いわゆる「ピンク映画」の歴史が昨年、半世紀を迎えた。アダルトビデオの普及などにより、年間の製作本数は全盛期の約5分の1にまで減少したが、人間の本質を赤裸々に描く銀幕世界は健在だ。(井上喜博) 一九六二年に公開され、わいせつ容疑で警視庁に摘発された小林悟監督の「肉体の市場」がピンク映画の第一号とされる。再編集された同映画は話題性もあってヒット。以後、次々と同様の作品が製作され、六〇年代半ばのピーク時には年間二百本を超えた。 しかし、八〇年代に入るとアダルトビデオの普及や、風営法の影響で業界がポスターなどの表現を自主規制したことにより、観客離れが激化。二〇〇〇年代半ば以降はさらに業界全体が縮小し、昨年の製作本数は四十一本。多い時には全国で二千館を数えた成人映画専門の映画館も五、六十館にまで減少した。東京都内は上野、池袋、新橋、飯田橋の四カ所