福井県内の万引による摘発者のうち、4割近くを65歳以上の高齢者が占めている。初めて手を染める高齢者も少なくない。堅実に生きてきた彼らが、なぜ罪を犯すのか。動機や背景を追った。 × × × 作業台に山と積まれた洗濯挟みを、作業服姿の20人余りの男たちが一つずつ手に取って検品していく。彼らの多くが白髪交じりで、手には深いしわが刻まれている。私語は一切ない。じゃらじゃらじゃら、とプラスチックの乾いた音だけが室内に響く。ここは福井刑務所の「第七工場」。高齢や身体が不自由な受刑者が平日の午前4時間と午後3時間、作業に従事している。 県内で65歳以上の高齢になってから犯罪に手を染める人が後を絶たない。県警によると2013年の65歳以上の摘発者は280人。平成に入ってから実に10倍に増え、このうち初犯は半数を占める。 最も多い犯罪が万引で、同年183人(初犯81人)。万引で摘発された未成年者