メキシコ、ティファナ郊外にある幻覚剤療法の施術施設で、強力な幻覚剤(コロラドリバーヒキガエルの毒から抽出されたもの)を吸入した後、ケアを受ける元海兵隊員のジェナ・ロンバード・グロッソさん。(PHOTOGRAPH BY MERIDITH KOHUT, THE NEW YORK TIMES/REDUX) 長年うつ病に苦しんでいるレネ・セントクレアさんは数年前、幻覚作用を持つ薬物ケタミンを用いた治療の最中、自分の脳が体から切り離されて浮かび上がり、部屋の向こうに移動してゆく光景を見て恐怖に襲われた。 「ゾッとするほど恐ろしかったです。もう脳は戻ってこないのではないかと思いました」。米カリフォルニア州サンディエゴに住む弁護士で、51歳のセントクレアさんはそのときの状況を振り返る。彼女の治療に付き添っていた看護師の要請により、精神科医がすぐに駆けつけて、優しく言葉をかけながらセントクレアさんの手をし