訪日観光客の数は3,000万人を超えた。史上最高の伸びだ。なかでも中国人訪日客は2019年に1,000万人に達すると予想される。ところが、「日本企業はチャンスロスが多すぎる」。9月に出版した『中国「草食セレブ」はなぜ日本が好きか』(日経プレミアシリーズ)でそう指摘する著者・袁静さんに話を聞いた。 【詳細な図や写真】袁 静氏(筆者撮影) ●ターゲットは日本人が思うよりずっと若い 「こんなに日中関係が良好なのに、日本は全然チャンスをものにできていません」 袁静さんは嘆いた。袁さんは日本国内では北海道や九州各県のインバウンドビジネス支援で実績を上げた、対中インバウンドビジネスの草分けである。中国人富裕層向けに発行した旅行誌『行楽』は現地取材によるコアなレストランや知る人ぞ知る旅の情報を美しいデザインのムックに仕立て、上海の旅行代理店に置かれる一番の人気雑誌となった。 「領土問題で日中関係が悪化し