ここまで述べてきた変位法は、骨組を構成する部材をすべて「線」として扱ったものです。もちろん、建物を構成する柱や梁は実際にはなんらかの体積をもち、かつ必ずしも均質であるとはいえませんから、これを無理やり「線とみなす」のは、「工学的判断にもとづく理想化」というものです。 しかし、建物を構成する構造材の中にはどうしても「線」とはみなしがたいものもあって、その代表的なものが「柱や梁と一体になっているコンクリート壁」です。もちろん、「柱や梁は線とみなし、壁は面とみなす」あるいは「柱も梁も壁も面とみなす」という立場だってないわけではありませんが、一般には多大の労力を要し、かつ結果の評価が難しいので、たいていは「柱も梁も壁も線とみなす」という立場がとられます。 現在もっとも多く使われるのは、「開口の大きな壁は柱や梁の剛域とみなし 注)、開口が小さな(あるいは開口のない)壁は何らかの方法で別途モデル化する