【解題】 日本文学科三年、大塚友加里さんのレポート素材は、僕にとって未知の「エレクトロ二カ・ポッブ」ミュージシャン、piana。僕は今回の講義では意図的に東京事変の自家製ライナーノーツ(サイト掲載済。長大なものだった)をコピー配布し、アルバムを論じるにあたって、その収録曲ごとに歌詞解析をしつつ曲そのものを様々な技法をもちいて「描写」する実例をしめした。そこでこそ文章力と音楽を聴く力が幸福に一体化する。ここに掲載する大塚さんのレポートも、その影響下にあって、ジュディマリを論じた渡邉あかりさんのレポートと双璧をなす(サイトにはほかに、大伴薫さんのモーサム・トーベンダー評や、僕自身のグレイプバイン評なども掲載されている)。 大塚さんは耳がいい。だから文章が繊細になる。たとえば以下の文――「私がとても気になるのは、このアルバムの1曲1曲、すべてどこか不完全燃焼感があることである。メロディーの歌い終