統計学の主な目的の1つは、標本データを用いて母集団の性質を推測することである。同じ母集団から抽出した標本であっても、無作為であるため標本を構成する要素、標本のサイズが異なると、それらの統計量(比率、平均、分散など)は異なる。従って、標本データを用いて母集団の性質を推測する際には常に誤差が伴う。 正規分布N(μ,σ2)の母集団から抽出した大きさnの無作為標本の平均はN(μ,σ2/n)に従うことが知られている。σは一定の条件のもとでは標本の不偏標準偏差を用いることも可能である。このように正規分布、t分布、x2分布などの確率分布を用いて母数やモデルの推定およびその推定の誤差を計算することができる。しかし、問題によっては確率分布を仮定できないケースも少なくない。そこで、1970年代にエフロン(Efron)は確率分布の性質に頼らないブートストラップ(bootstrap)という方法を提唱した。ブート