水島はポピュリズムを「民衆の参加を通じて、『よりよき政治』をめざす、『下』からの運動」と定義する。ポピュリズムは「既成の制度やルールに守られたエリート層の支配を打破し、直接民主主義によって人々の意思の実現を志向する」という。 だから、ポピュリズムは民主主義の敵ではない。むしろ少数派支配を崩す民衆的な解放運動という側面が強く、例えばラテンアメリカでは、政治から疎外された人の声をすくい上げる民主的運動として大きな成果を上げてきた。昨年のアメリカ大統領選やイギリス国民投票であぶりだされたのは「忘れられた人々」「置き去りにされた人々」の悲痛な声だった。このエネルギーとダイナミズムを軽視してはならない。