1953年から1955年にかけて文壇に登場した、「第三の新人」と呼ばれる作家たちがいます。「悪い仲間」で第29回芥川賞を受賞した安岡章太郎を皮切りに、吉行淳之介(「驟雨」/第31回)、遠藤周作(「白い人」/第33回)と軒並み芥川賞受賞作家ともなった彼らは、日常的な人間性を描く私小説への回帰を目的としていました。 彼らは文壇の中でも珍しい緊密な作家グループであり、遠藤、安岡、吉行は度々小説の執筆にあたってアイデアを交換していたそうです。 「第三の新人」の同時代評価 この「第三の新人」は文芸評論家の山本健吉が『文学界』の中で用いた言葉で、当時評判だった「第三の男」というアメリカ映画が元となったと言われています。「第三の新人」は続けざまに芥川賞を受賞しましたが、当初は期待されていないどころか、劣等生的な立ち位置を与えられていました。 「第三の新人」というネーミングは、野間宏、椎名麟三、武田泰淳ら
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