「すみません、ミス慶応の出場者を募ってる者なんですが、ぜひ出て下さい!」と当時大学に入って間もない私に声をかけてきたのはTシャツにシャツを羽織ってちょっとしたネックレスをつけた男だった。もちろん「あ、でも君の場合は勿論あれです。エントリー写真は顔のアップじゃなくて乳の谷間のアップで」というオチつきで。失礼な。 そういう、大して面白くはないけれどその場は盛り上がるような笑いを彼らは持っていた。その数ヶ月前、入学式の翌日、日吉でも三田でもない辺境のキャンパスで広告研究会の「キャンスト班」の新歓お茶会にも行った。先輩たちが飲めよ食べよその代わりぜひ入ってね、とやる例のやつである。テーブルで話題になるのは去年の海の家で誰と誰がヤッたとか付き合ったとか、一昨日の三田との合同のバーベキューで誰と誰がヤッたとか付き合ったとか、夏は誰々がクルーザーを借りるらしいとか、誰々の親はなんちゃら株式会社の社長だと