国立競技場はいつ、どのように建設され、どのような歴史を辿ってきたのでしょうか。その歴史は、大正時代まで遡ります。 日本で初めての本格的陸上競技場の誕生 国立競技場の前身は「明治神宮外苑競技場」(以下、神宮競技場)であり、日本で初めての、そして東洋一の本格的陸上競技場として、青山練兵場跡地に建設されました。神宮競技場は、大正8(1919)年12月に工事が着工されましたが、その後、物価の高騰や関東大震災の被災者の収容施設になるなどで工事が中断され、大正13(1924)年3月にようやく工事が再開され、同年10月に完成となりました。 この神宮競技場は、陸上競技のみならず、サッカー、ラグビーなども行われ、総合競技場として利用されていました。陸上競技では、織田幹雄氏が三段跳で、南部忠平氏が走幅跳で世界記録を樹立するなど、多くの名選手を生み出しています。一方で、第2次世界大戦中に学徒出陣の壮行会が行われ