静岡県が大井川の流量減少に懸念を示し、着工が見送られているリニア中央新幹線の静岡工区を巡り、国土交通省の有識者会議は十九日、中間報告を取りまとめた。適切な対策で流量は維持できるとし、JR東海に地元との十分な意思疎通などを求めた。県は報告に不満をにじませ、同社と協議を続ける方針。二〇二七年開業に向けた建設作業は既に一年半遅れており、さらに延びるのは必至だ。 中間報告では、トンネル掘削で発生する湧水を大井川に戻せば中下流域の流量は維持され、地下水への影響も極めて小さいと指摘。湧水を戻す方法をJRと地元で協議するよう促した。JRには、想定外の湧水など不測の事態に備え、水量や水質の監視体制構築も要求。自治体と十分に意思疎通し「地域の不安や懸念が払拭(ふっしょく)されるよう真摯(しんし)な対応を継続すべきだ」と求めた。