テニスコート10面分以上の巨大なフロアに整然と並ぶのは、高さ2.2mのコンピューターの棚432台。システム全体に収めた最先端のCPU(中央演算処理装置)の数は16万個近くに上り、スパコンの性能ランキングの指標となる演算回数で1秒間に44.2京回という性能をたたき出す。20年6月の世界ランキングで日本製スパコンとして8年半ぶりに首位に立ち、11月のランキングでも首位を堅持。2位に入った米国のスパコン「サミット」に対して約3倍の性能差をつけた。 20年4月に始めた試験運用では、新型コロナウイルスの感染対策として実施した飛沫の拡散状況のシミュレーションなどの具体的な成果も出始めた。21年度の一般利用には企業や研究機関の81プロジェクトが応募し、先代の「京(けい)」の最終年度の34件を大幅に上回る。準備期間を含めて約10年の長期プロジェクトで生まれた富岳は、まずは順調な滑り出しを見せた。 京に対し