児童三人をひき逃げしておきながら、米軍が「公務中」だといえば、釈放される――。二十八日に発覚した東京・八王子市での米兵による事件は、国民の命を脅かした犯罪であっても、日本の法律で裁くことができない屈辱的な地位協定の異常さを改めて示しました。(田中一郎) ■特権的な屈辱条項 地位協定は日米安保条約に基づいて定められたもので、二十八条から成ります。在日米軍のさまざまな治外法権的な特権を定め、国土の無償提供や、基地返還の際の原状回復・補償義務の免除、米軍基地の排他的使用権、公共サービスの利用優先権、各種税金の免除など、その範囲は多岐にわたります。 米兵による犯罪を含め米軍の事件・事故の取り扱いについて特権を定めているのは、一七条です。 日本国内で米兵が犯罪を犯した場合、「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」については、米軍が第一次の裁判権=優先的な裁判権を持つとしています。米軍が「公務中」と