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ブックマーク / honz.jp (55)

  • 『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』世界はくだらない仕事にあふれてる - HONZ

    待ちに待った邦訳がようやく出た。 デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ』である。 「ブルシット・ジョブ」とは、「クソどうでもいい仕事」のことだ。 もう少し丁寧に説明すると、「なんのためにあるのかわからない、なくなっても誰も困らない仕事」のことである。 近年、私たちの身の回りでブルシット・ジョブが増えている。 そして、確実にこの手の仕事は、働く人々の心身を蝕んでいる。 多くの人がこのことにうっすら気づいていたようで、2013年に著者があるウェブマガジンで「ブルシット・ジョブ現象について」という小論を発表したところ、国際的な反響を呼んだ。書はこの小論をベースに、その後の調査や考察を加えて一冊にまとめたものだ。コロナ禍でエッセンシャル・ワーカーに注目が集まる中、時宜にかなった出版といえる。まさにいま読むべき旬の一冊だ。 著者のデヴィッド・グレーバーは、イギリスの名門大学、ロンドンスクー

    『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』世界はくだらない仕事にあふれてる - HONZ
  • 『私はすでに死んでいる──ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 「自己」という感覚を脳はどのように構築しているのか - HONZ

    「私はもう死んでいる」(コタール症候群)、「この足は断じて自分の足ではない」(身体完全同一性障害)、「目の前にもうひとりの自分が立っていた」(ドッペルゲンガー)──わたしたちが「自己」と呼んでいるものに歪みを生じさせるような、驚くべき症例と経験の数々。書は、それらの症例と経験を手がかりとしながら、「自己とは何か」という大問題に迫る挑戦的な一書である。 挑戦的なだけではない。書は痺れるくらいにエキサイティングでもある。書をそれほどエキサイティングにしているのは、以下のふたつの要素だ。 まずひとつは、痛ましくも興味深い症例と経験のストーリー。書は、アルツハイマー病、統合失調症、自閉症といったよく耳にする疾患だけでなく、コタール症候群、離人症性障害、ドッペルゲンガーといったあまり知られていない疾患や経験もとりあげている。そして、それらの症例や経験をドラマチックに紹介する筋立てがじつによく

    『私はすでに死んでいる──ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 「自己」という感覚を脳はどのように構築しているのか - HONZ
  • 差別、貧困、食肉、利権、金、そして『路地の子』 - HONZ

    主人公は上原龍造。昭和24年に大阪南部の路地、一般的な言葉でいうところの被差別部落、に生まれた無名の人だ。子どもの頃から、出身路地である更池の人たちの仕事場であった「とば」で肉の仕事に携わり、努力と決断力、そして、持ち前の度胸の良さと喧嘩の強さを活かし、同和利権を取り込みながら事業を拡大していった。その一代記が、息子であるノンフィクションライター上原善広によって丹念に綴られていく。 冒頭からトップスピードだ。まず、とばではいかにして牛を処分するかの説明で始まる。次は、とばで、中学校三年生の龍造が、十八歳の極道見習い武田剛三を牛刀で追い回すシーンだ。周囲の人が止めに入らなかったら、間違いなく斬りかかっていた。 殺すつもりでいかな舐められる 龍造の育ちと性格を頭に入れながら、優れたバイオレンス映画を見始めたかのごとく、ぐいぐいと引き込まれていく。 三歳で母に死なれた龍造は祖父母に育てられた。

    差別、貧困、食肉、利権、金、そして『路地の子』 - HONZ
  • HONZメンバー推薦! 人生で一番影響を受けた本 - HONZ

    春の合宿を行った際、今までで一番影響を受けたを紹介せよ!という命令が成毛眞より下った。下は大学生から上は還暦オーバー組まで、「が好き」なのは変わらないが、幼いころから好きだった人、大人になって目覚めた人など、ひとそれぞれ。 ♬育ってきた環境が違うから~♪というわけで、かなり個性的で興味深いラインナップになった。絶版も多いけど、今の時代、図書館や古屋さんでだいたい見つかります。新生活での読書ガイドとしてご利用ください。 ◆成毛眞

    HONZメンバー推薦! 人生で一番影響を受けた本 - HONZ
  • 笑顔になれる『動物たちのしあわせの瞬間 BORN TO BE HAPPY』 - HONZ

    野生動物の世界は弱肉強の世界でもあり、時には一口のべ物も見つけられない場合もあり、身を寄せ合っても耐えれない寒い冬だってある。動物たちは大変厳しい環境を精一杯生き抜いているが、それでも緊張や恐怖から解き放たれて優しい表情を見せる瞬間がある。 書は世界中の動物たちのしあわせな瞬間を集めた写真集だ。著者が求めたのは弱肉強の世界に生きる動物ではなく、見ている人々の心をほっこりさせてしまう動物たちのしあわせな姿。

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  • 『「全世界史」講義 教養に効く! 人類5000年史』 学びを超えた知的エンターテインメント - HONZ

    のっけから著者に反論申し上げたいことがある。出口さんは「まえがき」で、「積み重ねられた歴史を学んで初めて、僕たちは立派な時代をつくれるのではないか」という。つまり書は良き未来を創りあげるという目的のために、テキストとして読むことができると言っているように聞こえるのだ。 たしかに歴史から学ぶべきこと、いや書から学べることはあまりにも多い。それは歴史だけでなく、生き様や人間関係、組織経営に至るまで、読んでいて気付かされることが多いのに驚くばかりだ。 しかし、書は時代をつくるという崇高な目的のためだけのものではないように思われるのだ。いやそれ以上に、純粋に読む愉悦に浸ることができるだと断言できる。これからの時代を考えることはひとまず脇に置いて、早く次のページを開きたいと思わせる書は高度に知的なエンターテインメントでもあるのだ。 書を読むときのイメージは「人類5000年史」という名

    『「全世界史」講義 教養に効く! 人類5000年史』 学びを超えた知的エンターテインメント - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    『腸よ鼻よ』10指腸 2018年09月22日 澄み渡る青い空と透き通るような海、白い砂浜のある南の島――沖縄。 この島に生まれ、蝶よ花よと育てられた1人の少女がいた。 彼女の名は島袋全優。 漫画家を志し、いずれは大都会東京での タワーマ...

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  • 『殺人鬼ゾディアック 犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実』ミステリーと家族の再生 - HONZ

    アメリカ国内で有名な未解決事件のひとつにゾディアック事件といわれる事件がある。1966年から1974年にかけて複数の男女が白人の男に襲われ、猟奇的な方法で6人が殺害された事件だ。この事件を世間に印象付けた理由はゾディアック自身が犯行後に警察を挑発し嘲笑するような電話や自分の名が書かれていると主張する暗号文をマスコミに送り付けるなどし、世間に大きく扱われるように、犯人自身がその犯行をプロデュースしていた点だ。 また犯人像にも特徴的な点が多い。例えばオペレッタ作品の「ミカド」のセリフを引用し、高度な暗号のテクニックを駆使するなど、かなり教養があり知的水準が高かったことが窺える。さらに殺した相手を来世で奴隷にできるという思相に強いこだわりを見せているなど、一種、独特の世界観を持っている。また、電話で自らの犯行を通報した際には、イギリス訛りの英語を喋っていた。 多くの特徴と、生存者を含む数多の目

    『殺人鬼ゾディアック 犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実』ミステリーと家族の再生 - HONZ
  • 『サボタージュ・マニュアル』あなたの会社はなぜ非効率? - HONZ

    第二次世界大戦中に米国戦略諜報局(OSS)が作成したサボタージュマニュアルの翻訳である。このマニュアルは枢軸国の占領下にある市民にできるかぎり仕事を怠けさせ組織の非効率化を図ることにより、枢軸国側の占領政策を混乱に陥れ、士気の低下や軍需物資の生産力を滞らせることを目的としている。 内容としては産業機械をそれとなく故障させるという技術的面が強いものから、「常に決められた手順を守れ」「文章による指示を要求し、誤った解釈をせよ」といったマネージメントに関係する物や「トイレを詰まらせる」「鍵穴に木片を詰め込め」といった悪戯レベルのもの、さらに遅滞性の発火装置を使って火災を誘発する方法と多岐にわたる。このような行為をひとつひとつを眺める事により、組織がなぜうまく回らなくなるかを逆照射しようというのが、書の狙いであるようだ。 書の「解説」では、第五章の11「組織や生産に対する一般的な妨害」という

    『サボタージュ・マニュアル』あなたの会社はなぜ非効率? - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    プロレスには人生の大切な全てが詰まっている!『パパはわるものチャ... 2018年09月23日 プロレスは人生の縮図だ。 人生では勝つことも負けることもあるけれど、勝ってばかりだと面白くないし、反対に負けてばかりでもやるせない。 絶対に勝たなければいけない時もあるし、勝ちを譲った方が良い場面...

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    『腸よ鼻よ』11指腸 2018年09月29日 澄み渡る青い空と透き通るような海、白い砂浜のある南の島――沖縄。 この島に生まれ、蝶よ花よと育てられた1人の少女がいた。 彼女の名は島袋全優。 漫画家を志し、いずれは大都会東京での タワーマ...

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  • 『メタルめし!』こそ、最強のごちそうDEATH! - HONZ

    2014年、ヤンキーがマイルドと認定されたこの年、メタルはもっとワイルドになった。 ポエムではなく叫びを、イオンタウンではなくイアンギランを、仲間との絆ではなく仲間割れをこよなく愛す。そんなメタラー達の魂を熱く揺さぶる新ジャンル、それがメタル×めし。 はたしてメタルスライム、はぐれメタルに次ぐ、メタルの新機軸を打ち出せるのだろうか。 著者は料理研究家ならぬ、料理勉強家の”ヤスナリオ”氏。ごはんを通じてヘヴィメタルを浸透させるべく考案されたという、全66点に及ぶダジャレシピの数々。その中から選りすぐりの一品を、コース料理風に紹介してみたい。 ◆前菜×AEROSMITH 前菜の役割とは、ずばり「欲を駆り立てること」。来は、彩りを考えながら、味付けや香辛料などでアクセントを付けることが求められる。だがそれだけで、メタラーの欲望を満たすことなど出来はしない。となると、欲を駆り立てながらも、同

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  • 『京都大学人気講義 サイエンスの発想法』世界に誇れる名講義 - HONZ

    感動を飛び越してショックだ。こんな面白い講義をリアルタイムで受けている京大生には、同じ大学生として嫉妬全開である。まあ、受験生時代のセンター試験の点数を聞かれたらぐうの音もでない訳だが、学校が違えばこんなに違うものかとつい思ってしまう。 そんな悩ましい程面白い講義とは、京都大学屈指の人気を誇る、「生命の化学」。その中から生徒に好評だった部分を選りすぐり、実際の講義の流れに沿ってまとめたものが書なのだ。 しかもこれがただの人気講義ではない。ハーバードやMITといった世界的名門大学によって設立された国際オンライン教育機関である、edXにて今年4月から、この講義の模様は世界中にネット配信されている(edxからの配信としては日初)。つまり、世界トップレベルというお墨付きを受けた超人気講義がこの一冊に収まっているという訳だ。 早速、気になる講義の内容を、プロローグより抜き出して紹介しよう。 この

    『京都大学人気講義 サイエンスの発想法』世界に誇れる名講義 - HONZ
  • 『社会はなぜ左と右にわかれるのか』 - 断層を乗り越えるための技法 - HONZ

    保守とかリベラルとか、その手の話題とは願わくば一線を引きたいと思っていたし、あまり深入りせずに真ん中あたりをうろちょろしていると思われたいのが音だ。だが、ここまで明確に人間社会における道徳の機能的価値を晒されると、むしろ知らないことの方が怖くなってくる。 道徳心理学という手法を活用した書の明快すぎる論考には、いささか著者固有のバイアスもかかっていることだろう。だが、冒頭に大部分の分量を割いて、そのスタンスを丁寧に明示している。それは、社会的直観モデルとされる「まず直観、それから戦略的な思考」というもの。つまり直観の概念を重視しながら、人間の性を描き出そうとしている。 このスタンス自体、論争の対象になりうるだろうし、実際、書にはいくつかの批判も寄せられたのだという。だが、紹介されている膨大な新事実を前に、その種の議論が周回遅れの印象を受けるほどの興奮を感じた。 冒頭から、道徳を理解す

    『社会はなぜ左と右にわかれるのか』 - 断層を乗り越えるための技法 - HONZ
  • 連載再開発表『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博も一目置く鬼才、岡本倫のススメ | マンガ新聞

    中学生の頃、過労で肺炎になり入院してしまいました。 その時の主治医の先生が無愛想な強面の男性で、正直言って苦手でした。 しかし、ある日のこと。 病室でも、多分に漏れず多くの時間を漫画を読むことに費やしていた私。何回読んだか判らない『HUNTER×HUNTER』を読んでいた時、その先生がやって来て 「それ、面白いよね!」 と普段見せない笑顔で話し掛けてくれました。 その時私は「いい人だなあ」と思ってしまったのです。 ……我ながら何というチョロさでしょう! ともあれヒソカが好きだというその先生と、退院した後も通院時にハンタートークで盛り上がったものです。 そんな時期もありつつ、物心付いた頃からジャンプっ子でもあった私にとって『HUNTER×HUNTER』は連載開始時からずっと追い続けている愛着のある作品。今までで最長となる二年超の休載を経ての今回の連載再開の一報、当に嬉しい物でした。 よく巷

    連載再開発表『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博も一目置く鬼才、岡本倫のススメ | マンガ新聞
  • よく生きるために学べ『フィンランド理科教科書 生物編』 - HONZ

    インフォームドコンセントの世の中になって、お医者さんはたいへんだ。相当時間をかけて説明しても、頭のなかに『?』しか残らない患者さんや患者さんの家族がかなりの割合でおられるにちがいない。 医業を営んでいないといっても、医学部を出ているので、近所のおばばとかに病気の相談をされることがある。どのあたりの基的なことから、どの程度の詳しさで話をしたらいいかが難しい。もちろん最初からきちんとすべてのことがわかるように説明するのがあらまほしけれど、それでは時間がかかりすぎる。 いまはまだいい。千ドルゲノムの時代がやってくると、USBメモリーをもってきて『せんせ、わたしのゲノムこれですねん、いちばんええ治療を見繕うてくんなはれ』とかいう患者さんが出てくるはずだ。いよいよ、どこからどういうように説明すればいいかわからないだろう。 そこまではいってないけど、アンジェリーナ・ジョリーのおっぱいからもわかるよう

    よく生きるために学べ『フィンランド理科教科書 生物編』 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    10/15(月)「先の見えないネット時代のマンガ作りを気鋭の原作... 2018年10月01日 *イベントは、マンガ新聞社が運営するオンラインサロン「ネットマンガラボ」のイベントです。サロンメンバーは無料で、メンバー以外の方は、有償で一般参加が可能です。 今回のイベントは、コルク佐渡島...

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  • 2月のこれから売る本-東京某書店 田中大輔 - HONZ

    みなさんはニッパチという言葉を知っていますか?小売業界でよく使われる言葉なのですが、2月、8月は消費が冷え込み、売上が落ちるという意味で使われている言葉です。売上が落ちるのは服飾業界で特に顕著なのですが、書店業界も2月、8月はなぜか売上が落ち込みます。それゆえ、出版社もこの時期にはあまり大きな新刊を仕込んでこない事が多いんですね。ただ今年は話題になりそうな大きな新刊がたくさんでそうなので楽しみです。今月はそういったを紹介していきたいと思います。 今月1番の注目はグーグル会長のエリック・シュミット初の著作『第五の権力』です。これ以上の説明が必要でしょうか?笑。エリック・シュミットの著作というだけで、どう考えても話題になること間違いなしの新刊です。誰もがいつでもどこでもオンラインでつながることができる状態になることにより、80億人が新しい権力=第五の権力を手にするようになるというのがエリック

    2月のこれから売る本-東京某書店 田中大輔 - HONZ
  • 『脳のワーキングメモリを鍛える! 』 前頭葉のフィットネス - HONZ

    物覚えが悪くなったのはいつ頃からだっただろうか、今となっては思い出せない。小学校の時から忘れ物は多かった人間だが、明らかに、最近、一皮むけたのだ。特に固有名詞だ。正解の直前までわかるのに「あれ」としか言えないもどかしさ。最近、物忘れがひどいんだよ…と友人に言ったら、「俺、今日、カタカナの“メ”が思い出せなかった。」と言われた。お互い、年である。“メ”がだめだったら、もうあとは“ノ”しかない。土俵際である。 書には、脳の「ワーキングメモリ」がいかに重要な機能か、さらに、どうすればそのワーキングメモリを強化するできるかが記されている。著者はノースフロリダ大学の心理学教授で、以前はスターリング大学生涯記憶・学習センターの所長だった人である。表示に書かれた副題は、「Train Your Brain to Function Stronger,Smarter, Faster」。私は迷わず手に取り、レ

    『脳のワーキングメモリを鍛える! 』 前頭葉のフィットネス - HONZ