いわゆる移民政策は考えない。これが政府の方針だ。 「いわゆる移民」とは何か、政府は語らない。ただ、欧州を中心に移民・難民がさまざまな摩擦を生んでいる現状を見て、「移民」に神経をとがらせる。 その一方で、外国人の受け入れは広げている。代表例が技能実習制度だ。期間を3年から5年に延ばし、対象職種は70を超える。約20万人が実習として各地の企業や農漁村で働く。 ■本音と建前使い分け 途上国への技能伝達が目的で単純な労働者受け入れではない、というのが政府の見解だ。だが、人手不足を埋める手段になっているのは公然の事実だ。 外国人が頼みの綱で、教育に熱心な企業には「せっかく育てたのに、帰国してもらっては困る」との不満が強い。かたや、時間外労働や賃金不払いなどの法令違反があったのは年間3600事業場にのぼる。 移民について国際的な定義はない。だが、国連は広くとらえるのが一般的との専門家らの意見を紹介し、