介護疲れなどを理由に、60歳以上の高齢者が家族に殺害されたり心中したりする事件が1998年から14年間に全国で少なくとも550件発生、558人も命を落としていることが、18日までに日本福祉大学(愛知県)の湯原悦子准教授(司法福祉論)による調査で分かった。介護保険制度が導入された2000年は39件だったが、06年以降は年50件前後で推移。原因が明確でない心中事件などは除外しているため、湯原准教授は「実態はさらに多いのでは」とみている。 高齢者に限定した「介護殺人」の公式統計はなく、湯原准教授はインターネットの新聞データベースサービスから全国紙や地方紙計30紙を指定し、「介護・殺人」「介護・心中」などのキーワードで検索。被害者が60歳以上の死亡事例を抽出した。 それによると、被害者の73・5%が女性で、加害者の73・2%が男性。加害者も60歳以上の“老老介護”のケースは58・0%に上った。