2014年08月20日00:54 カテゴリ本 <つくる>と<なる> 木田元氏が死去した。彼の専門はハイデガーだが、私が一番おもしろかったのは『マッハとニーチェ』である。西洋的な合理主義に反抗する危険思想だったニーチェが、日本では何の抵抗もなく受け入れられたのは、日本人が「天然ニヒリスト」だからだろう。 本書はもっとポストモダン寄りで、ここでも丸山眞男が出てくる。西洋の存在論は、世界を<つくる>ものと考えているというのがハイデガーの批判で、彼はニーチェの延長上で<なる>ものとして存在論を考える。その延長上にあるのが、丸山の「古層」だという。ハイデガーが<つくる>存在論を克服しようとしたのに対して、丸山は初期には<なる>政治意識をプレモダンなものとして克服しようとした。しかし丸山も晩年には、両者を並列して見ていた。彼の「古層」にはフーコーも注目してフランスにまねき、レヴィ=ストロースは手紙をく