「ついに言った」。それが率直な感想である。黒田東彦日銀総裁が7月29日の講演で、消費増税によって日本経済の成長が大きく損なわれることはないと語った件だ。従来財政健全化の重要性を強調してきた黒田総裁だが、消費増税についてここまで踏み込んだ言い方をしたのは初めて。もちろん財政悪化懸念を招く増税延期論をけん制するためだが、政治的に微妙な問題にあえて触れた真意は何か。「エッ」と驚いてしまった記者会見
恐慌に立ち向かった男 高橋是清 (中公文庫) 著者:松元 崇 販売元:中央公論新社 (2012-02-23) 販売元:Amazon.co.jp ★★★☆☆ 高橋是清といえば「日本のケインズ」とか「国債の日銀引き受けでリフレを行なった」などという人がいるが、それは本当だろうか。本書は財務省の現役官僚が書いたもので、高橋の伝記というより昭和初期の日本財政史である。読み物としてはあまりおもしろくないが、数字の検証は精密に行なわれている。 高橋は1932年に蔵相に就任してから、金解禁でデフレに陥った日本経済を建て直すために金輸出をふたたび禁止し、農村救済のための「時局匡救事業」を行なって、32年の歳出は32%増になった。このために公債の発行が増え、それを消化するために日銀に引き受けさせた。それによってデフレは止まり、1932~36年に卸売物価指数は6%上昇し、鉱工業生産は10%伸び、マネーストック
自民党の大勝と安倍政権へのリフレ+円安期待で株価が大きく上昇している。このまま景気が回復すれば素晴らしいことだが、「そんなウマい話がほんとうにあるのか?」と疑問に思うひともいるだろう。デフレ脱却がそんなにかんたんなら、民主党政権はもちろん、小泉政権や第一次安倍政権のときにさっさとやっておけばよかったからだ。 もちろん、「金融緩和どころか金融引き締めをした日銀がぜんぶ悪い」という意見があることは知っている。これに対しては、「日銀がいくら金融緩和してもデフレからは脱却できない」とういう有力な反論があって、すでに10年以上にわたって激しい論争が続いている。 そこで、経済学者・吉本佳生氏の『日本経済の奇妙な常識』を紹介したい。吉本氏はここで、「日銀が金融緩和(ゼロ金利政策)をしたから日本経済はデフレ不況に陥った」と述べている。 吉本氏は、日本経済(と世界経済)のターニングポイントは1998年にある
2013年01月07日10:38 カテゴリ経済テクニカル 日米の量的緩和には効果がなかった Woodfordのジャクソンホール論文は、ゼロ金利のもとで何が理論的に起こりうるか、そして実際に何が起こったかを精密に検証しており、ゼロ金利のもとでの金融政策についての学問的な結論と考えてもいいだろう。といっても100ページ近くあるので、日本に関連する部分だけを簡単に紹介する。くわしく知りたい人は、上のリンク先のPDFファイルを読んでください(非常にテクニカル)。 彼はまずインフレ目標について検討し、インフレ率そのものには意味がないとして、名目GDP目標を提案する。Under this proposal, the FOMC would pledge to maintain the funds rate target at its lower bound as long as nominal GDP
It’s Baaack! Japan’s Slump and the Return of the Liquidity Trap∗ † ‡ 1998 2001 8 29 -9 9 Ver.1.0.1 1 2 2 5 2.1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 2.2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 2.3 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8 2.4 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11 2.5 q . . . . . . . . . . . . . .
ベースマネー(base moneyまたはmonetary base)の供給量を増やせば、それだけで予想インフレ率が高まるといった乱暴な議論をする人達がいる。そして、そうした議論をする人達のうちの一人が日銀副総裁に指名される見込みだというご時世だが、デフレ脱却論議の原典であるクルーグマンの議論(Krugman 1998、邦訳)は、さすがにもっと論理的に筋の通ったものとなっている。そこで、池田さんの「こども版」とまではいかなくても、できるだけ分かり易くクルーグマンの議論の要点を解説してみよう。 現在は、「流動性の罠(トラップ)」の状態にあるとしよう。これは、貨幣数量説的なメカニズムが働かないということである。すなわち、貨幣供給量が増えても、物価が上がるという関係は成り立たない。クルーグマンは、はっきりと「流動性トラップは、名目金利がゼロまたはゼロ近くになったために、伝統的な金融政策が不能になっ
本日5日の国債市場は乱高下した。また、株式市場、為替市場も大きく動いた。昨日4日に、黒田新総裁の下では初めてとなる金融政策決定会合で決定された「異次元の金融緩和」の発表を受けてのものだ。なるべく早期の年率2%のインフレを実現するため、今後2年でマネタリーベースを2倍に拡大し、2年で長期国債の保有残高を2倍以上に、TOPIX ETF、J-REITなどのリスク資産の保有残高も2倍に拡大し、国債の平均残存期間も現在の3年程度から7年以上にする。マーケットが想定していた量的緩和のフルコースを全て実施するとともに、その規模も事前予想を大きく上回った。これはリフレ政策そのものである。この日銀のリフレ政策発動により、朝方の日経平均の上げ幅は一時590円を超え、また、すでに4日に0.425%と史上最低となっていた国債長期金利(満期10年)は、今日の朝方には0.315%となり史上最低記録を更新した。為替市場
黒田新体制になって最初の金融政策決定会合で打ち出された緩和策は、さすがと思わせる「本気度」を示したものであった。これが、人々や企業の「期待」という掴みがたいものにどのような影響を及ぼすかは、率直にいって私にはよく分からない。しかし、もう少し実体があると思われるレベルでの効果については、多少は推論してみることが可能なので、それについて述べておきたい。 資金の供給量を2倍にするとか、ベースマネーの量を2倍にするとかいわれると、錯覚しやすいと思われるが、長期国債を買い上げる代わりにベースマネーが供給されるわけだから、ベースマネーが増える分だけ民間銀行が保有する長期国債の額は減っている。すなわち、別に民間銀行(ましてや家計や企業)の購買力が増加するわけでもなんでもない。民間銀行の保有する金融資産の内訳が変更されることになるだけである。民間銀行の保有する金融資産の総額は一定のままである。 増加を予定
This copy is for your personal, non-commercial use only. Distribution and use of this material are governed by our Subscriber Agreement and by copyright law. For non-personal use or to order multiple copies, please contact Dow Jones Reprints at 1-800-843-0008 or visit www.djreprints.com. http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324474804578399481927568670.html
2010年01月02日13:32 カテゴリ経済テクニカル 生産性格差デフレ* Tyler Cowenが、なつかしい部門間シフト(sectoral shift)について議論している。これは1980年代に提唱され、Fischer Blackが部門別の一般均衡理論として定式化したが、学会誌には掲載されず、忘れられた。もともとこの種の理論は30年代に、ハイエクなどオーストリア学派が大量失業の原因として提唱したもので、古い産業から新しい産業へ労働人口が移行する過程で起る部門間の摩擦が失業の主要な原因だというものだ。 Menzie Chinnも示唆するように、たぶんアメリカではこの問題はそれほど重要ではないだろう。80年代以降、大規模な部門間シフトによって製造業からサービス業に労働人口が移動したため、かつては大きかった部門別の失業率の差がほとんどなくなった。しかし日本では、部門間の格差が大きい。次の図
前の記事では、日米の非伝統的金融政策について述べたが、黒田新体制の下で日本銀行が新たに行おうとしている金融緩和は、むしろ英国で実施されているものと類似性が高いものになるのではないかと思われる。そこで、英国の経験についても少し整理しておきたい。英国の中央銀行であるイングランド銀行は、前回述べた米国連邦準備とは異なって、その政策を自ら「量的緩和(Quantitative Easing)」と呼んでいる。 リーマンショック以後、英国でも金融緩和が進められてきたが、2009年3月に、政策金利を0.5%まで低下させたところで、実務上はこれ以上政策金利を下げることはできないとして、同時に「量的緩和のための資産買い取りプログラム(Quantitative Easing Asset Purchase Programme)」を開始することが決定された。その内容は、2009年の3月から11月の間に総額2000億
安倍晋三内閣は「危機突破内閣」と自称して、13兆円の補正予算や日銀との「共同声明」を出し、筋金入りのリフレ派を日銀総裁に任命するなど、いろいろな景気対策を矢継ぎ早に打ち出している。おかげで株式市場は活況を呈しているが、これは本物だろうか? 政治家は何となく物価が下がるのが不況だと思い込んでいるようだが、所得が同じなら、物価が下がると実質所得(名目所得-物価上昇率)は上がる。デフレは消費者にはいいことなのだ。彼らの信じている神話の実態をデータで見てみよう。 【神話1】 円安・株高の原因はアベノミクスである まず次の図1を見ていただこう。ユーロ/円で見ると、2012年8月にECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が、南欧諸国の国債を買い入れて財政支援するとの意向を示したことがきっかけで、ユーロが9月頃から上がり始めた。これはユーロのリスクを避けて円に逃避していたリスクオフの資金がユーロやドルに戻り始
1994年ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部にて、流通・電機・IT業界、国際金融、財政政策、マクロ経済を担当。2006年より現職。 デフレ日本 長期低迷の検証 20年もの長きにわたって低迷を続ける日本経済を、気鋭の経済学者とともに検証する。 バックナンバー一覧 齊藤 誠(Makoto Saito) 一橋大学大学院経済学研究科教授 1960年生まれ。京都大学経済学部卒業、米マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了。経済学博士。住友信託銀行、英ブリティッシュコロンビア大学助教授などを経て、2001年より現職。専門はマクロ経済学、金融経済論。07年日本経済学会・石川賞受賞。主な著書に『資産価格とマクロ経済』(日本経済新聞出版社、07年)。 Photo by Masato Kato ──日本経済の現状をどうとらえているか。 実質国内総生産(GDP)も物価水準も為替レートも、主な経済指標は
日本金融学会2011年度春季大会における特別講演 日本銀行総裁 白川 方明 2011年5月28日 全文 [PDF 841KB] 図表 [PDF 445KB] 目次 1. はじめに 2. 信認の相互依存性 通貨と国債 民間金融機関の信認の裏付けとしての政府の意思 政府の信認の裏付けとしての国民の意思 中央銀行の信認の裏付けとしての政府・国民の意思 3. 財政を巡る課題 4. 中央銀行と国債の役割 金融調節における国債の利用 高橋財政期の日銀による国債引受け 5. 最後に 1. はじめに 本日は、日本金融学会にお招き頂き、大変光栄に存じます。どの学問分野でも学者、実務家、政策当局者が対話を重ねることは有意義ですが、金融論の世界では特にこのことが当てはまるように思います。自分自身、長く中央銀行の世界で仕事をしていますが、短期間ながら大学に身を置いたこともあり、相互の知的交流をもっと深めたいと強く
素晴らしい? 高橋是清のマクロ経済政策 昭和11年(1937年)2月26日、日本陸軍の将校が1400人の兵士を不法に動かし、政府高官、また警視庁警察官など9人などを殺害するテロ「2・26事件」を起こした。ここで当時の大蔵大臣だった82歳の高橋是清も殺害された。今年は仏教上の区切りである七十七回忌だ。それに加えて彼の死は、現代的な意味を持つ。 日銀批判を繰り返してきたが、驚く事に日銀副総裁に指名された学習院大学の岩田規久男教授は編著の『昭和恐慌の研究』(2004年、東洋経済新報社)で、高橋の金融・財政政策を分析している。積極的財政出動と日銀の国債引き受けを肯定的に受け止め、インフレ期待を引き起こせるとの議論を展開した。後年の岩田氏の過激な日銀批判の言説と違って、学術書としても、読み物としても、興味深く読めた本だった。 高橋是清は蔵相に1932年に就任。恐慌からの脱却を図るため拡張的なマ
論理的に議論をするためには、概念を明確に区別することが不可欠である。とりわけ、名目と実質の概念の区別と並んで、予想と実績の区別も重要である。 例えば、「インフレになると実質金利が下がる」というのは厳密には誤りで、「インフレ予想が高まると(フィッシャー効果で同率の名目金利の上昇が生じない限り)実質金利が下がる」というのが正しい。実質金利は、これからの先行きにかかわるもの(forward lookingな概念)であって、その限りで足下のインフレ率の実績とは関係ない。もちろん、足下のインフレ率の実績が将来のインフレ予想に反映される傾向が強いので、実績としてインフレになれば、インフレ予想も高まると想定できる場合が少なくない。こうした想定に立って、上で述べたことを理解した上で「インフレになると実質金利が下がる」といっているのならいいのだが、予想と実勢の概念区別に無頓着なままではミスリーディングである
ท้าทาย เพิ่มเติมประสบการณ์ รวมไปถึงลุ้นเงินรางวัลได้อย่างมีอิสระ บาคาร่า99 ทางเลือกที่จะเข้ามาเติมเต็มให้กับนักพนันทุกคนอย่างทั่วถึง สำหรับคนทั่วไปที่มีความสนใจตัวเกมพนันออนไลน์ อยากจะให้เริ่มต้นกับทาง บาคาร่า99th ที่มีการเน้นบริการเกมพนันยอดนิยมระดับโลกอย่าง Baccarat เกมพนันที่กลายมาเป็นอันดับที่ 1 สามารถครองใจนักพนันไปทั่วโลก เนื่องจากว่าขึ้นชื่อว่าเกมพนัน จะต้องง่ายและหลากหลาย สามารถตอบสนองทั้ง
2013/2/49:0 日銀がいかに仕事をしていないかが分かる、たったひとつのグラフ 村上尚己(マネックス証券チーフエコノミスト) 『日本人はなぜ貧乏になったか?』(中経出版)発売記念特別寄稿第二弾。http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000003701.html シノドスジャーナル上で、「アベノミクスでバブルが起きるは本当か?」という筆者の記事(http://synodos.livedoor.biz/archives/2021651.html)に対して、池田信夫さんより、「村上尚己氏の古代マネタリズム」というタイトルで次のような反論をいただいた(http://blogos.com/article/55259/)。 この反論記事への再反論はいずれまた書かせていただくとして、池田さんが、筆者への反論記事の冒頭で、次のようにお書きになっているこ
2%インフレ目標などを掲げるアベノミクスの期待が高まる中、その政策に疑問を投げかける吉川洋著『デフレーション―“日本の慢性病”の全貌を解明する』(日本経済新聞出版社)や小幡積著『リフレはヤバい』(ディスカヴァー携書)等が書店に並ぶようになってきた。 また、ネット上では、早大教授の野口悠紀雄氏の動画「インフレ目標2%は達成不可能」が話題である。 だが、一部の専門家が警戒しているものの、これらでは説明が十分でないリスクがあるように思う。それは、金利が正常化したときの金融政策の出口戦略(日銀券の回収方法)に関するリスクである。 それは「貨幣数量説」(quantity theory of money)と深く関係する。貨幣数量説とは「貨幣の数量は物価水準と比例する」とする説で、以下の恒等式で表現される。 M・V = P・Y …(1) ここで、Mはマネーストック、Vは貨幣の流通速度、Pは物価水準、
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く