人間にはぞっとするほどの暴力性と、平和を望む非暴力性とが備わっている。幸いにして、人類史を通じて暴力は減り続けてきた、と心理学者のスティーブン・ピンカーは力説する。最近邦訳が出版された彼の著作『暴力の人類史』(青土社)を参照しながら、人間の本性について考えてみよう。 2011年に出版された『暴力の人類史』の原題は、"The better angels of our nature - why violence has declined"(われわれの本性はよりよい天使-なぜ暴力は減ってきたか)である。邦題を見ると人間による暴力の歴史をつづった憂鬱な本だと誤解されそうだが、実際には人類史を通じて暴力が一貫して減少してきたことを立証した本である。「人類の未来に向けた希望の書」という帯の説明のほうが、本書の内容をよく表している。 かつて略奪、決闘、殺害は当たり前だった
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