私が一貫して携わってきたのは、ロケットに搭載する電気系統システムの開発です。 ロケットにおける電気系統システムというのは、例えばイプシロンロケットでは主に4つの系統に分かれています。 まずは誘導制御系。これは打ち上げの際のロケットの舵を操作するシステムです。イプシロンは固体燃料、つまり火薬です。ただ火を点けただけではロケットも花火と同じ。それを燃料の切り離しなどのイベントをこなしながら、目標の軌道に向かわせるようにする役割を担っています。 次に地上に対してロケットの位置や温度、振動などのデータを伝える計測通信系、それから電力を供給する電力電装系。そして、最後に搭載点検系という最新型であるイプシロンならではの系統があります。 イプシロンロケットの大きな特徴の一つに――私たちは「モバイル管制」と呼んでいるのですが――ロケットの打ち上げ管制を小規模な設備で行なえることがあります。人工知能機能が搭
JAXA(宇宙航空開発研究機構)で働きたかった理由を一言でいえば、やっぱり星が好きだったから、ということになるのだと思います。 私は小笠原諸島の父島で生まれ育ちました。夜になると島はどこにいても星空に包まれていて、例えば晩御飯の後に外を歩いたり海岸に行ったりするとき、ふと空を見れば、満天の星があり、そのあいだを人工衛星がゆっくり動いているのを見つけてはしゃいでいたものです。ギリシャ神話の本や星座に興味があったので、両親に本を買ってもらって何度も読み返している子供でしたね。 それから同じく小学生のとき、探査衛星ボイジャーのドキュメンタリーがNHKで放送され、とても感動したことをよく覚えているんです。自分が生まれる前に打ち上げられた衛星が、天王星に近づいて太陽系の外に出ようとしている。なんてすごいことなんだろう、って。 実は父島にはJAXAの前身であるNASDA(宇宙開発事業団)の基地局があり
やまもと・ぜんいち。1958年、東京都生まれ。工学博士。東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了。1986年、宇宙科学研究所助手。助教授を経て、2003年より教授。2010年より臼田宇宙空間観測所 所長。
新型ロケット製造の過程を圧倒的な迫力で捉えた写真集!EPSILON THE ROCKET イプシロン・ザ・ロケット
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