名だたる欧州の名門オーケストラが、新ホール建設でこぞって頼りにする日本の巨匠がいる。米ロサンゼルス在住の音響設計家、豊田泰久さん(64)。これまで担当してきたホールの音響のすばらしさに指揮者や演奏家らが魅せられ、コンペや指名を通じて依頼するケースが相次いでいる。 ドイツ北部の港湾都市ハンブルクに11日にオープンしたホール「エルプフィルハーモニー」もその一つ。ブルックナー演奏で知られる巨匠ギュンター・バントが率いた名門・北ドイツ放送エルプフィルハーモニー交響楽団(北ドイツ放送交響楽団から改称)の本拠地だ。同日の開幕演奏会にはガウク大統領、メルケル首相が出席し、ハンブルク出身のメンデルスゾーン、ブラームスの作品やベートーベンの「第九」などで完成を祝った。 ユネスコの世界遺産に登録されている運河沿いの倉庫群にある赤れんが倉庫の上にガラス張りの構造物を乗せた建物は26階建て(高さ111メートル)。