年齢別の死亡率から計算される平均寿命はその国の健康状態、経済発展、社会病理の状況を集約して示す指標である。 ロシアの平均寿命(男性)は欧米先進国の平均寿命(出生時の平均余命)より10歳以上も少なくなっている(図録1620参照)。 こうした状況に至った推移を示す男女別のロシアの平均寿命を欧米先進国平均(主要6カ国平均)とともにグラフにした。 2021年の平均寿命は、男は64.2歳、女は74.8歳である。2019年のそれぞれ68.2歳、78.2歳から大きく低下しているのは新型コロナの影響と見られる。欧米主要先進国でも2020年には低下したが21年には回復の方向に折り返した。これに対してロシアは21年も低下が続き、また低下幅が大きい点に深刻さが認められる。もっとも22年には大きく回復した。 男の平均寿命が60歳代半ば強、すなわち定年年齢程度である点はやはり目を引く。ロシアでは年金問題は生じないと