本棚の一角に並べておくだけで「オレってなんか頭良さそう……!?」と思えてきてしまう岩波文庫。 そんなやましい気持ちで購入した人(筆者)の場合は、購入しても読み通せるものは1~2割程度だったりするのだが、岩波文庫に収められた古今東西の古典には、その難解さに応じた読み応え・面白さも確実にある。 そんな岩波文庫から、この8月に刊行されたのがパスカル(1623~1662)の『パンセ』(上巻)。あの「人間は考える葦である」の格言でおなじみの古典的名著だが、意外なことに岩波文庫では初収録とのことだ。 「『パンセ』って短い断章が集まった本だから、意外と簡単に読めるんじゃないか」という下心もあって読み始めてみたのだが、これがすこぶる面白い。まず、あの「考える葦~」以外にもパンチラインが満載なのである。たとえば以下のようなものだ。 私たちは、目の前に何か目隠しを置いて、断崖が見えないようにしてから、平気でそ