千曲川の堤防が約70メートルにわたって決壊した長野市穂保(ほやす)地区。堤防復旧工事が進んでいたが、この先で川幅が狭くなり、水位が上がって堤防決壊のリスクが高いところだった 台風19号が本州に上陸した10月15日、千曲川の堤防が70メートルにわたって決壊した。その現場である長野市穂保地区を訪れると、そこには東日本大震災の被災地と同じような光景が広がっていた。 一階部分の壁が抜け去った二階建て家屋が立ち並び、一気に押し寄せたであろう濁流の激しさを物語っていた。庭には車や農機具がガレキに埋もれ、周辺は一面泥でまみれていた。 堤防脇の住宅は半壊状態。ようやく晴れ間が見えるようになったためか、長靴をはいた女性が家の周囲を見て回っていた。「ご自宅ですか?」と声をかけると、無言のまま小さく頷いただけで、その場から離れていった。しばらくすると、再び自宅前に戻って損壊状態を確かめていた。 目の前に広がって