「それはよかった。それだけ期待されているということなんだろうね」。彼は、えっ、という顔をし、私は、にやりと笑った。 振り返れば、私も何度かお客様に「出入り禁止」を言い渡されたことがある。そして、そのたびに「出入り禁止の斎藤です・・・」と菓子折を持って、頭を下げにいった。そうすると大概の場合は、ぐりぐりと嫌みを言われ、時には感情を爆発させ怒鳴られる。そして、まずは怒りの矛先を納めてくれる。第一ラウンド終了と言ったところだ。 配慮が足りなかったこと、準備不足のまますすめてしまったこと、相手の期待を読み誤ったこと・・・理由は様々だが、よかれと思ってやったことである。何をそこまで言わなくても、という思いもあるが、失敗は失敗である。まずは、その非を認めることが先決だ。それをしっかりと、そして素直に受け止めることからはじめなくてはならない。 しかし、見方を変えれば、これはチャンスだ。お客様の意図ははっ