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  • 早稲田大学大学院・早瀬晋三の書評ブログ : 『戦争と新聞-メディアはなぜ戦争を煽るのか』鈴木健二(ちくま文庫)

    早瀬晋三 (はやせ・しんぞう) 1955年岡山県津山市生まれ。東京大学卒業。西豪州マードック大学Ph.D.。 現在、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授。 主要著書 『フィリピン近現代史のなかの日人:植民地社会の形成と移民・商品』(東京大学出版会,2012年)、 『マンダラ国家から国民国家へ:東南アジア史のなかの第一次世界大戦』(人文書院,2012年)、『フィリピン関係文献目録:戦前・戦中、「戦記もの」』(龍溪書舎,2009年)、『未完のフィリピン革命と植民地化』(山川出版社,2009年)、『歴史空間としての海域を歩く』(法政大学出版局,2008年)、『未来と対話する歴史』(法政大学出版局,2008年)、『戦争の記憶を歩く 東南アジアのいま』 (岩波書店,2007年,英語版:A Walk Through War Memories in Southeast Asia, Quezon C

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    haruhiwai18 2018/01/16
    "戦争を恐れているために、そうなるのです。こちらが相手を恐れ、あわてて軍備をととのえる。すると相手もまたこちらを恐れて、あわてて軍備をととのえる。" →中江兆民がセキュリティ・ジレンマを説いていた件
  • 『近代日本社会と公娼制度-民衆史と国際関係史の視点から-』小野沢あかね(吉川弘文館) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「男たちの放蕩や「家」の没落を招いた遊郭。女たちの勤倹貯蓄精神や修養意欲は、どう公娼制度批判へ発展したのか。また、東アジアに拡大した日の公娼制度政策の特徴を国際関係史的視点から解明。慰安婦問題の歴史的前提にも言及」と裏表紙にある。 著者、小野沢あかねは「序章 書の課題と方法」の冒頭で、書の課題をつぎの2点としている。「①近代日社会における公娼制度批判の特徴を民衆史的側面から明らかにするとともに、②近代日の公娼制度政策の特徴を国際関係史的手法で明らかにする」。 「日の遊郭と身売り奉公は、近世以来の長い伝統をもっていた。そして、近代日社会においては、法的には人身売買が禁止されていたにもかかわらず、事実上は、芸娼妓などの人身売買が行われ続けた。主として芸娼妓の親権者が貸座敷などから受け取る前借金を、芸娼妓稼業を通じて返済するまで彼女たちの人身の自由は事

    『近代日本社会と公娼制度-民衆史と国際関係史の視点から-』小野沢あかね(吉川弘文館) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    haruhiwai18 2017/12/29
    "戦時体制を現代化の基点として、平準化・国民化の過程としてとらえ、そういった点における戦時・戦後の連続を主張する総動員体制論は…一面的といわざるをえない" →慰安婦という"第二市民"を存続させた総動員体制
  • 『ハゲに悩む――劣等感の社会史』森正人(ちくま新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「身体への現代的不安を問う」 少し前に「ちょいワル」や「カレ専」(枯れた男性専門)、「グレ専」(ロマンスグレー専門)という言葉が登場したように、男性の老いに関して肯定的に描く風潮が見られるようになった。だが、ことに「ハゲ」(「ハゲ」は身体的特徴に対する蔑視を含んだ表現ともいえるが、書に合わせて使用する。その他の身体的特徴に関する用語も同様)に関しては、それが肯定的に語られることは珍しい。つまり、ハゲは半ば固定化された劣位な身体的特徴といえる。例えば面積で考えた場合、人間の身体の数パーセントでしかない頭髪というゾーンが何故これほどまでに人々の劣等感や自尊心ひいてはアイデンティティがせめぎ合うアリーナとなるのか、という疑問も生じてくるが、書に沿って考えてみたい。 著者はハゲの社会史を見る前に、「はじめに」でまず身体に関する劣等感を次のようにとらえる。 「身体の

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    haruhiwai18 2017/05/22
    "特集「ハゲもたま楽し」(『週刊文春』1972年11月27日号)では右翼の赤尾敏が回答しているかと思えば、評論家でアナーキストの竹中労も名を連ねるなど…イデオロギーもないという様相" →右も左も無かったのか(マテ
  • 『深い謎―ヘーゲル,ニーチェとユダヤ人』ヨベル,イルミヤフ(法政大学出版局) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「ユダヤ人問題の謎」 この書物のタイトルは、ヘーゲルのユダヤ教とのかかわりについて、伝記作者のローゼンクランツが「ユダヤ教はヘーゲルをひきつけるとともに、彼に不快な思いをさせる不快な謎だった」(p.27)と語っていることによる。初期のヘーゲルがキリスト教の実定性を考察しながら、かなり激しい反ユダヤ主義的な表現をしているのは、あまり知られていないかもしれない。 ヘーゲルは族長アブラハムを「地上の異邦人、大地とも人々とも異質な存在」(p.49)と呼んで、パセティックなほどにユダヤ教の精神では、神を絶対的な他者として描くのである。著者はその背景に、スピノザとメンデルスゾーンのユダヤ教の取扱いかたがあったと考える。どちらもユダヤ教を宗教というよりも、制度として把握していたからである。ヘーゲルはそこからユダヤ教は精神性の欠如した制度にすぎないと断罪したのだった。ただこうした反ユ

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    haruhiwai18 2017/04/25
    "ニーチェが何よりも評価したのは「たえざる苦難の旅にあってもユダヤ人が捨てない生の肯定」""生に潜む可能性を展開して生に価値を与えるユダヤ人の生き方」はニーチェを感服させた" →ニーチェとユダヤ
  • 早稲田大学大学院・早瀬晋三の書評ブログ : 『戦後補償裁判-民間人たちの終わらない「戦争」』栗原俊雄(NHK出版新書)

    早瀬晋三 (はやせ・しんぞう) 1955年岡山県津山市生まれ。東京大学卒業。西豪州マードック大学Ph.D.。 現在、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授。 主要著書 『フィリピン近現代史のなかの日人:植民地社会の形成と移民・商品』(東京大学出版会,2012年)、 『マンダラ国家から国民国家へ:東南アジア史のなかの第一次世界大戦』(人文書院,2012年)、『フィリピン関係文献目録:戦前・戦中、「戦記もの」』(龍溪書舎,2009年)、『未完のフィリピン革命と植民地化』(山川出版社,2009年)、『歴史空間としての海域を歩く』(法政大学出版局,2008年)、『未来と対話する歴史』(法政大学出版局,2008年)、『戦争の記憶を歩く 東南アジアのいま』 (岩波書店,2007年,英語版:A Walk Through War Memories in Southeast Asia, Quezon C

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    haruhiwai18 2016/12/09
    "軍人・軍属と民間人の区別なく「生活保護」や「身体障害者福祉」という観点から援護していくというGHQの命令が、主権回復後なぜ引き継がれなかったのか" →特権と不平等が、戦前レジームの特徴(覚えよう)
  • 早稲田大学大学院・早瀬晋三の書評ブログ : 『忘却された支配-日本のなかの植民地朝鮮』伊藤智永

    早瀬晋三 (はやせ・しんぞう) 1955年岡山県津山市生まれ。東京大学卒業。西豪州マードック大学Ph.D.。 現在、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授。 主要著書 『フィリピン近現代史のなかの日人:植民地社会の形成と移民・商品』(東京大学出版会,2012年)、 『マンダラ国家から国民国家へ:東南アジア史のなかの第一次世界大戦』(人文書院,2012年)、『フィリピン関係文献目録:戦前・戦中、「戦記もの」』(龍溪書舎,2009年)、『未完のフィリピン革命と植民地化』(山川出版社,2009年)、『歴史空間としての海域を歩く』(法政大学出版局,2008年)、『未来と対話する歴史』(法政大学出版局,2008年)、『戦争の記憶を歩く 東南アジアのいま』 (岩波書店,2007年,英語版:A Walk Through War Memories in Southeast Asia, Quezon C

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    haruhiwai18 2016/12/08
    "「強制」の意味がわかっていない。植民地支配下の住民が、支配している側から言われれば、すべて「強制」なのである。それが植民地支配で、その必要がないなら植民地支配する意味もない" →至言である(こなみ
  • 『アメリカ遊学記』都留重人(岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「在りし日のアメリカ遊学記」 都留重人(1912-2006)が1950年に書いた『アメリカ遊学記』(岩波新書)がアンコール復刊された。今となっては古いところもあるかもしれないが、約11年間に及ぶアメリカ滞在記は、20世紀前半のアメリカを知るには貴重な記録ともいえる。 都留がアメリカ留学に旅立ったのは1931年9月だったが、当初はウィスコンシン州の片田舎アプルトンに滞在し、ローレンス・カレッジにて2年間学んだ。アメリカに留学したのは、旧制八高の反帝同盟事件にかかわって除籍になり、日でそれ以上の高等教育を受けることができなくなったからである。「当初は」と言ったのは、いずれドイツに渡って学びたいという気持が強かったからだが、それはもろもろの事情(ヒトラーの台頭にみられる欧州情勢の悪化など)で不可能になったので、「図らずも」11年間もアメリカで学ぶことになった。 当

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    haruhiwai18 2015/08/09
    "…大学院生の間でケインズ熱が高まったのには、『一般理論』刊行以前に…というカナダ人がイギリスのケンブリッジで学んだケインズの新理論のエッセンスをすでにもち込んでいたから" →思想あるあるw
  • 『「戦場体験」を受け継ぐということ-ビルマルートの拉孟全滅戦の生存者を尋ね歩いて』遠藤美幸(高文社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「戦場体験」を記録したもので、もっとも資料価値が高いのは、戦場で書いたものである。だが、全滅した部隊では、そのような記録は、まず期待できない。わずかな生存者が戦場でのメモをもとに、時間をおかずに捕虜収容所などで書いたものなどが、つぎに期待できるものである。その後は、時間が経つにつれて資料的価値は下がっていく。「戦場体験」を記録しようとする者は、できるだけ正確に書こうと、戦友を探し、情報を集める。そして、1970年前後に防衛研修所戦史室から戦史叢書が出版されると、「公刊戦史」として貪るように読んで参考にする。たとえ誤りがあっても、偏った記述であっても、頼らざるを得ない。このように学習した成果としての「戦記もの」は、書いた人が満足しても、歴史研究者としては資料的価値が低いといわざるを得ない。ましてや、「戦場体験」をしていない者が聞き書きしたものは、もはや「原資料

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    haruhiwai18 2015/05/31
    "『十五対一』(酣火社、1950年)""青酸カリをあおり、朝鮮人「慰安婦」を逃がして、大和撫子は兵士とともに死を選んだというのは、辻の捏造した「美談」であり、事実とは異なる" →殺戮と"美談"を作った男。
  • 『「恩恵の論理」と植民地-アメリカ植民地期フィリピンの教育とその遺制』岡田泰平(法政大学出版局) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 植民地支配は、解放されて独立すれば終わりではない。それをもっとも如実に感じているのは、歴史研究者だろう。植民地時代を支配された側の視点で書くだけの充分な史料がないだけでなく、多くの史料が植民地支配を正当化するもので、客観的な歴史叙述をする妨げになっているからである。フィリピン人のように植民地支配を受けた者が、自分たちを主体的に描く歴史叙述に苦悩しているなかで、外国人が書くという行為を、著者岡田泰平はつぎのように「あとがき」冒頭で述べている。「外国人である私がフィリピン人を書き表すという書の営為は、フィリピン人を傷つけるものであると感じている。あらゆる批判を受け止めていきたい」。 書では、「アメリカ植民地期フィリピン社会を、教育という営為を中心に描きだす」。この「二一世紀の現在に直結する課題」を考察する端的な理由を、著者は「近代植民地主義の評価が現代世界にお

    『「恩恵の論理」と植民地-アメリカ植民地期フィリピンの教育とその遺制』岡田泰平(法政大学出版局) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    haruhiwai18 2015/02/17
    "植民地教育は、英語を広められない英語教育、…民衆に市民性を植えつけられない「市民教育」…といったものしか生みだせなかった""ボス支配「カシキズム」の改革もなされなかった" →課題の指摘も含め良書評
  • 『アップルパイ神話の時代―アメリカ モダンな主婦の誕生』原克(岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「アップルパイ神話」とは、二〇世紀前半のアメリカの主婦たちを「モダンな主婦」たらしめるためにメディアが作り上げた幻想である。書は、その「モダンな主婦神話」の「巧妙な語り口」を読み解いてゆくことによって、「お袋の味」というイデオロギーとは何だったのかをあきらかにする。 よく、アメリカ人の好きなものは「ママと星条旗とアップルパイ」といわれるように、「アップルパイ」は品メーカーの広告にくりかえしとりあげられ、「お袋の味」の大定番としてアメリカの主婦たちに刷り込まれていった。そうしたメディアの言説のなかでは、「アップルパイ」が上手に作れることはモダンな主婦であることの最大の要件なのだった。だからたとえば、サクサクのパイ生地を焼けることうけあい、という「クリスコのショートニング」の広告は、これさえ使えば「ご主人も『イチコロ』まちがいなし」と謳う。 書によれば、「モダンな主

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    haruhiwai18 2015/02/07
    "1920年代の絶対移民制限法施行と世界恐慌によって、使用人を雇うことが困難になって家庭が増え、妻が家事を「代行」しなくてはならなくなった" →"下部構造"の変化にみる、"主婦神話"誕生の背景。
  • 高山宏の読んで生き、書いて死ぬ:『先生とわたし』四方田犬彦(新潮社)

    →紀伊國屋書店で購入 由良君美という「敗者の精神史」 もう60冊は簡単に越えているのだろうか、四方田犬彦氏の仕事には無条件に脱帽してきた。とにかくアクチュアルであることに憑かれてパレスチナへ、クロアチアへ、韓国へと飛ぶ。どこまで知っているのかという博読ぶりにも驚くが、だから現地ルポがルポルタージュに終るはずもない。過激な政治的スタイルで文章が荒れる虞(おそ)れなどなく、『摩滅の賦』を頂点とする、澁澤龍彦ぶりの小さな対象へ感入していく微細玄妙の感覚と文体を放すこともない。つい先日も阿部嘉昭氏が『摩滅の賦』収中の「オパールの盲目」の精緻を激賞していたが(『d/SIGN』14号)、当に主題の自在、観察の巨細、驚くばかりで、ぼくは実は世間的に言えば氏の「先輩」ということになるが、この「後輩」にはずっと頭が上がらないで今日に至っている。 中でも特別の才と感じるのが、『モロッコ流謫』に極まる評伝の書

    高山宏の読んで生き、書いて死ぬ:『先生とわたし』四方田犬彦(新潮社)
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    haruhiwai18 2014/12/13
    "由良家が「南朝の遺臣の血を引く」「神官の家系」であり""由良ゼミで北畠親房『神皇正統記』を読まされた不可思議が、こうして謎解きされ" →目指せ、天皇制の「脱構築」(マテヤコ等/なお、http://urx2.nu/faJq
  • 『集団的自衛権と安全保障』豊下楢彦・小関彰一(岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「「他国防衛」のための戦争が日の安全を高める、という論理を根底から問い直す」と帯にある。書の1節でも理解している国民が大多数を占めれば、書は無用の長物になる。だが、現状は首相の「国民に分かりやすく」のことばを信じているのか、そもそも関心がないのか、とくに戦場にかり出されるかもしれない若者に、著書の悲痛な叫びは届いていないだろう。 書の「はしがき」だけでも読めば、帯の裏にあるつぎの文章の意味がわかるはずだ。「問題は、過去半世紀以上にわたり歴代自民党政権によっても憲法違反とされてきた集団的自衛権の行使を、解釈変更によって可能であると国民に広く訴える歴史的な記者会見において、安倍首相が全くの“架空のシナリオ”を持ちだし、しかも……“情感”に訴える手法をとったことである。これは「国民に分かりやすく」するためのレトリックどころか、人を欺くトリックそのものであり、

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    haruhiwai18 2014/09/11
    "日本がいま考えなければならないのは、大国の横暴をどう抑えるかであって、大国とともに「例外」を享受することではない""底知れぬ「複合不安」から脱却しうる安全保障" →脱"下請け"的ミドルパワーhttp://urx.nu/bRKz
  • 『皇軍兵士の日常生活』一ノ瀬俊也(講談社現代新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「あとがき」冒頭で、著者一ノ瀬俊也は、つぎのように書いている。「書の執筆中、第三章の「応召手当」の項では、現在社会問題となっている「派遣社員切り」のことを、第四章の戦死者「死亡認定」の項ではいわゆる「宙に浮いた年金」問題のことをそれぞれ想起せざるをえなかった。われわれの住む国も社会も、じつは六十数年前から変わっていないということがわかったように思う」。 著者が、このように書くことができるのは、「はじめに」の終わりで、つぎのように書いているからだろう。「どうか読者諸賢におかれては、もし自分があの時代に生まれて戦争に行くことになったらどうなっただろうか、あるいはどう思っただろうかを考えながら読んでいただきたい。私も自分がそうだったら、と思いながら書いている」。そして、「おわりに」の最後は、つぎのような言葉で締めくくっている。「戦争の時代を考えるとき一番大切なのは、その時

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    haruhiwai18 2014/08/15
    "戦争について学んだ後の学生は、すくなくとも戦前・戦中の日本人と自分たちが違うことを 日本から被害を受けた中国や東南アジアの人びとに説明できないことに気づく" →"応答責任"とは 例えば、こういうこと。
  • 『近代東アジア史のなかの琉球併合-中華世界秩序から植民地帝国日本へ』波平恒男(岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 書の要約は、カバー見返しに、つぎのように要領よくまとめられている。「従来「琉球処分」は日史の狭い枠内で、近代的な国家形成・民族統一・国民形成などの一環として解釈されてきた。「琉球藩」設置は、琉球人遭難事件を口実になされた一八七四年の台湾出兵を可能にするための準備措置だったとされ、日の大陸への膨張志向の初期的発現と見なされてきた」。「書は広範な史料・文献を渉猟し、「琉球藩設置」の歴史的真意を解明し、台湾出兵との因果関係に関する従来の謬説を糺す。併合する側の視点と併合される側の視点を往還する複眼的考察に立ち、琉球および朝鮮の併合という「二つの併合」の類比性と関連性に着目する。東アジアの伝統的中華世界秩序の衰退から植民地帝国日の擡頭への新旧交替という大きな脈絡から、中国・朝鮮・台湾・日を見渡す視野のなかに「琉球併合」の史実を据えた画期的研究」。 書は、

    『近代東アジア史のなかの琉球併合-中華世界秩序から植民地帝国日本へ』波平恒男(岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    haruhiwai18 2014/07/16
    "琉球の士分層はおしなべて琉球の社稷(しやしよく)の保存、その国家的存在と自己統治の存続を願う琉球派""清国との関係を絶たれては琉球という国家的存在を保つことは不可能であろうと考えた" →琉球併合・再考。
  • 『凍りの掌―シベリア抑留記』おざわゆき(小池書院) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「記憶をめぐる情報戦」 作は、作者の父親のシベリア抑留についての語りに基づいて構成されたマンガ作品である。50万人とも言われる日人が抑留され、多数の死者を出したこのできごとについては、おそらくその重大さと比べると、体験者の手記なども一定数刊行されているにも関わらず、人々の話題に上ることが少ないのではないだろうか。 その点で作は、やさしげなその絵柄とは対照的に、淡々と記された過酷な事実が、読者の記憶に強烈に刻まれざるを得ない、貴重な存在となっている。とりわけ60年以上も前の風化しつつあるできごとを、父親にどうにか思い出しつつ語ってもらい、それを数少ない資料と照らし合わせながら再構成していった、作者の努力には、素直に敬意を払わずにいられない。 さて、シベリア抑留が未だになぜ話題に上りにくいのか、という点については、いくつかの理由が考えられるだろう。一つには、

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    haruhiwai18 2014/06/18
    "原爆の被害ならば原爆ドーム、ナチスのホロコーストならば強制収容所跡が残されているが、日本社会の中で、シベリア抑留の記憶を語り継ぐための、特定の場所というのはあまり存在していない" →記憶と場所。
  • 『インドのヒンドゥーとムスリム』中里成章(山川出版社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

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    haruhiwai18 2014/04/03
    "植民地政府が実施した国勢調査…流動的な社会集団を、明確な「境界」をもつ社会集団に切り分け""「ムスリムのバラモン」さえ存在していた共生社会が、しだいに「分離" →"ムスリムのバラモン"、"労働貴族"か何かか(違
  • 『民主化のパラドックス-インドネシアにみるアジア政治の深層』本名純(岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 著者、名純の専門は、「インドネシア政治・東南アジア地域研究・比較政治学」である。欧米をモデルとした近代政治学ではない。著者は、終章「民主化のパラドックス-アジア政治の深層をみる目」をつぎのことばで結んでいる。「グローバル政治経済の大きな力学に阻まれ、ひ弱な改革勢力が骨抜きになっていく事態はみたくない。そのためには、民主主義の現場で何が起きていて、権力と利権をめぐる政治がどう運営されているのかをローカルな立場から発信し、安易な民主化評価に警鐘を鳴らすことが大事である。それがグローバル化時代に生きる地域研究者の存在意義のような気もする」。「書を通じて、その思いが読者の皆さんに伝わることを祈りつつ、この終章を締めくくりたい」。 書の目的は、「民主化が孕むパラドックスの実態を描く」ことである。その例として、インドネシアを取り上げる。著者は、「スハルト体制崩壊から

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    haruhiwai18 2014/03/29
    "旧体制下で影響力を持っていた「非民主的」な勢力の…特権を温存できているからこそ「民主主義」が定着して安定""今の質の悪い民主主義の実践を変えていこうと日々頑張っている人たち →「もっと民主化」勢力。
  • 『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』高瀬毅(文藝春秋) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「廃墟の時間性」 昨年の収穫の一つと紹介されていたのを目に留め、急いで読んだ。もとは2009年に平凡社から出ていたものの文庫化。五年近く前からの話題作に、やっと気づいた自分の迂闊さが情けない。気を取り直して思うに、何事にもめぐり合わせの時というものがあり、今の私にとって、書との出会いは絶好であった。 広島市に原爆ドームがあるように、長崎市にはかつて浦上天主堂の被爆遺構があった。原爆のむごたらしさを伝えるものとして、多くの市民がその保存を願ったが、その思いも空しく1958年に解体され、天主堂は翌年新たに再建された。被災した一部の壁が、原爆落下中心地に造られた公園に移設されたにとどまり、もう一つの被爆都市の1945年8月を物語る遺物は、惜しくも消し去られてしまった。それはなぜだったのか。長崎出身の著者はこの疑問に執拗にこだわり、そこに秘められた歴史を辿ってゆく。

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    haruhiwai18 2014/03/07
    "搦め手で友好関係を演出し、ついに市長の懐柔に成功したのが、USIA""アメリカのカトリック信者の惜しみない援助のもと、核兵器の罪悪を地上に告知するまたとない礼拝堂が取り壊された" →"記憶"の消し方。
  • 『対馬藩江戸家老-近世日朝外交をささえた人びと』山本博文(講談社学術文庫) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 近世(初期近代)の外交について知りたくて、書を開いた。日史研究は、文献も研究者も多く、具体的な事例が示されるのでわかりやすく、勉強になる。書も、対馬藩江戸屋敷にあった「宗家史料」を使い、日朝関係をとりもった対馬藩の実情が具にわかり、興味深かった。そして、近世という時代のアバウトさも理解できた。 近世という時代の外交が、国際的に認知されたものでもなければ、当事国同士の了解のもとに行われていたわけでもなかったことが、書からわかった。著者は、徳川幕府が、「朝鮮通信使を「来朝」と称したように、国内向けには朝鮮を朝貢国扱いしていたことは事実である。しかし、幕府は、実際には朝鮮通信使を非常に丁重に扱っていたし、通信使随員の殺害事件などがお

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    haruhiwai18 2014/03/03
    "相手を下に見ようとする態度を堅持したまま、実際には対等以下の立場にあることを何とも感じないきわめて日本的な姿勢" →日本側の対米政策(「番犬様」)はこんな感じではないか?w/文化的に優位だった朝鮮との"外交"
  • 『現代朝鮮の歴史―世界のなかの朝鮮』カミングス,ブルース(明石書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「韓国の現代史を大づかみにするために」 社会学者の高原基彰です。今回からこの「書評空間」に私の担当欄を設けて頂けることになりました。 私は、「分かりやすくて内容の薄いを何十冊速読するより、濃密で有益な情報のつまったを1冊、時間をかけて読む方が、得るものははるかに大きい」と思っています。分野・新旧の別などあまり関係なく、そういう意味で私が「なるべく多くの人が読んだ方がいいんじゃないか」と思ったものを紹介したいと思います。よろしくお願いします。 今回は、著名な朝鮮史研究の歴史学者、B.カミングスによる『現代朝鮮の歴史』を取り上げたい。大部であり、値段も高いである。しかし韓国北朝鮮について、薄っぺらなを何十冊読むよりも、書を通読した方が、はるかに実りが大きいと断言したい。 カミングスは、韓国の知識人に絶大な支持を得るアメリカ人の歴史学者で、特に朝鮮戦争の研究でよ

    『現代朝鮮の歴史―世界のなかの朝鮮』カミングス,ブルース(明石書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2014/01/16
    "アメリカの意図により、人望を集めていた独立運動家が排除され、「親日派」が支配層となった""独立後に行われた「親日派」への調査と処罰が、アメリカの意向を汲んで早期に終了させられた" →韓国の建国時。