「小さなお茶会」は猫十字社の作品で、「花とゆめ」に連載されていた。擬人化された猫の夫婦が主人公の、かなり少女趣味の入ったメルヘン調のマンガだが、その中にけっこう骨太な物語があったりして、なにげにファンが多い。その「小さなお茶会」全7巻のうち、ひときわ人気が高い話の1つが、この「ごけけ鳥」の登場する話だ。 物語の中で、ごけけ鳥は、人(作中では「猫」なんだが)に不幸を与える鳥として登場する。人からは姿が見えないが、何か悪さをするときに「ごけけっ」という鳴き声が聞こえる。いわば疫病神のような存在であるわけだ。なぜそんなことをするか。今、本が手元にないのでうろ覚えだが、ごけけ鳥のことばを借りればこうなる。 「猫(ひと)ってのは、幸せすぎると不安になるんでさ」 つまり、たまに不幸を味わうことで人はかえって安心して幸福を享受できる、ということだ。逆にいえば、人が幸福を感じるためには、不幸を必要とする。