ブックマーク / sakstyle.hatenadiary.jp (17)

  • さやわか『文学の読み方』 - logical cypher scape2

    さやわか流メディア論的近代日文学史の。 『小説神髄』『あひゞき』から始まって『Re:ゼロから始める異世界生活』まで 日近代文学は、 「文学とは、人の心を描くものである」 「文学とは、現実をありのまま描くものである」 というのが錯覚であること、そしてまたこの2つが矛盾していることに気付かぬままに、突き進んでいった結果、村上春樹が芥川賞を取ることができなかったのだ、という感じ。 序 章 そもそも何が文学なのか? 第一章 1979年の村上春樹 第二章 文学は人の心を描けない 第三章 メディアが作家と文学を作る 第四章 文学のジャンル化 第五章 純文学など存在しない 第六章 文学史が作られていく 第七章 錯覚は露見する 第八章 文学とは錯覚にすぎない 終 章 ある錯覚の未来について あとがき 文学の読み方 (星海社新書) 作者: さやわか出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/09/2

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  • 三輪健太朗『マンガと映画』 - logical cypher scape2

    マンガと映画についての美学的メディア比較論であり、これまでの議論・言説を丁寧に再検討しながら、「映画的」であるとはどういうことなのかを論じ、それが「近代」を前提しにした視覚文化であることを示していく。「映画的」っていうのが単に技法的な話ではなくて、近代の大衆文化とか時間概念とかにおける考え方のことなんだ、という話 メディアの特性とか技法とかを形式的に判断するのではなくて、それがどういう思想・システムのもとで動いているかを見て判断しないといけないよっていう話でもある。 また、サブタイトルに「コマと時間の理論」とあるように理論を書いたであるのだが、落下のモチーフをめぐるマンガ批評(作品論)として読めなくもないところが各所に差し挟まれているでもある。 ちなみに修士論文がもとになっているらしい。 このは、メディア比較の方法論から説き起こして、これまでの議論の検討も含め、丁寧な解説がなされて

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  • 鈴木雅雄編著『マンガを「見る」という体験』 - logical cypher scape2

    サブタイトルは、「フレーム、キャラクター、モダン・アート」 去年の6月から12月にかけて開催された三回連続のWS「マンガ的視覚体験をめぐって――フレーム、フィギュール、シュルレアリスム――」をもとにした論集。 参考:伊藤剛・鈴木雅雄「マンガ的時間、シュルレアリスム的時間」感想ツイート - Togetter マンガとシュルレアリスム美術を比較しながら、論じられたもので、非常に刺激的で面白かった。 第1部 マンガの時間、絵画の時間 消える男/帰ってくる男――マンガから見た絵画・シュルレアリスム 伊藤剛 瞬間は存在しない――マンガ的時間への問い 鈴木雅雄 第2部 マンガのコマ、絵画のフレーム マンガにおけるフレームの複数性と同時性について――コマと時間をめぐる試論(一) 野田謙介 分裂するフレーム――シュルレアリスム〈と〉マンガ 齋藤哲也 第3部 マンガをめぐる言説、美術をめぐる言説 マンガと美

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  • 長沼毅・井田茂『地球外生命 われわれは孤独か』 - logical cypher scape2

    生物学者長沼毅と惑星物理学者井田茂による共著で、アストロバイオロジー入門的な。知的生命体の可能性についても触れられている。おおむね、前半を長沼、後半を井田が担当していると思われるが、部分的には必ずしもそうなってないところもある。 地球外生命の存在について、天文学者や物理学者は、条件が揃えば生まれると考える「確信派」が多いのに対して、生物学者は懐疑派が多い、とまえがきで書かれている。井田と長沼は、言ってみればそれぞれの代表ということになる。 地球外生命がいるとしたら、どのような姿をしているのかというのは、これまでにSF作家が数え切れないほど考えてきたことだろうと思うが、それが科学的に検証することのできる話題になりつつある、というのが書の面白いところだと思う。 後半はもはや完全にSF 第1章 地球生命の限界 1 辺境の生物たち バイオマスの概算 植物:1兆〜2兆トン 動物:100億に近い数

  • 東浩紀『クリュセの魚』 - logical cypher scape2

    25世紀の火星を舞台にしたラブロマンスSF 書き下ろし短編アンソロジー『NOVA』で連載されていたのを読んでいたのだが、最終話だけ読んでなくて、今回単行化されて一気に最後まで読んだ。 『NOVA2』 - logical cypher scape 大森望編『NOVA3』 - logical cypher scape 『NOVA5』 - logical cypher scape SF的ジャーゴンが大量にまぶされていて、個人的にはそれだけで楽しいです、はいw 上で書いたようにラブロマンスで、プロットは純愛もの的な感じ。SF分抜かしてあらすじ書くとこんな感じ。 主人公(彰人)は、子どもの時に出会った年上の女性(麻理沙)のことがずっと好きで、時々逢瀬を重ねていたのだけど、ある時その女性は自爆テロして死んでしまう。彼女は実は、亡国の王家の血筋で、とある独立運動に担ぎ上げられていた。 数年後、彼女を忘

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  • 大橋可也&ダンサーズ/飛浩隆『グラン・ヴァカンス』 - logical cypher scape2

    大橋可也&ダンサーズの『グラン・ヴァカンス』を見てきたのだが、それに先だって原作小説を再読したので、それについても書く。 ダンス版 土曜日の昼公演を見てきた まず、コンテンポラリー・ダンスを見るのがはじめて、なばかりか、そもそもダンスを舞台で見るということ自体が初めて*1。 なのでまずは、そもそもどうやって見ればいいのかというところから手探りだった。 客席の最前列とステージの高さが全く同じだった。ステージ右側に音楽担当が3人いて、右上にモニタがあり、左奥には大道具で部屋がつくられている。 音楽は、大谷能生が担当していて、サックスやウッドベースが生楽器として入っていた。エレクトロニカ的な感じの曲もあったと思う。ノイズミュージックといっていいのかどうか分からないけど、ノイジーな感じの曲もあった。 そうした音楽もよかったし、コンテンポラリー・ダンス独特の動きの緊張感みたいなものがあって、目が離せ

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  • 宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』 - logical cypher scape2

    SFマガジンで掲載されていた4編と書き下ろし1編。 世界各地の紛争地などに、日製のホビーロボットDX9が登場する連作短編。3目以降は、〈現象の種子〉という秘密兵器とルイ(隆一)と名乗る日人を巡る物語ともなる。 SFマガジンで掲載されていた分は既に誌面上で読んでいたけれど、改めて一気に読んだ上で、最後の書き下ろし1編がよかった。 『盤上の夜』の時も、一番最後に入っていた章が書き下ろしで、それがそれまでの章をまとめあげる感じだったのだけど、それと同様、これも最後の章がある種のまとめとなっていた。 『盤上の夜』はとかく壮大なイメージに覆われて「うおーっ」って感じだったけれど、こちらは、より複雑でじわじわっとくる感じ。 宮内悠介『盤上の夜』 - logical cypher scape ヨハネスブルグの天使たち ヨハネスブルグのスラムで暮らす、黒人少年のスティーブとアフリカーナーの少女、シェ

    宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』 - logical cypher scape2
  • 『言語哲学重要論文集』 - logical cypher scape2

    八木沢敬『意味・真理・存在 分析哲学入門中級編』 - logical cypher scape2を読んだ勢いで読んだ 八木沢を先に読んでてよかった。 第一部 言語哲学の誕生 フレーゲ「意義と意味について」(野和幸訳) 言わずとしれた超有名論文。1892年。 改めて、フレーゲは色々なこといってて面白い、というかすごいなーと思った。 (「明けの明星」と「宵の明星」など) ラッセル「表示について」(松坂陽一訳) 言わずと知れた2。1905年。 一番最後に、他人の心や物理学における粒子は、表示句によってのみ知られる存在者で、直接見知っている存在者と区別されるというような話をちらっとしてた。 (「現在のフランス国王は禿である」など) 第二部 指示をめぐる謎 ドネラン「指示と確定記述」(荒磯敏文訳) 1966年。 確定記述には、指示的用法と帰属的用法がある。 指示的用法があることの指摘は、ストロー

    『言語哲学重要論文集』 - logical cypher scape2
  • 倉田剛『「現代存在論入門」のためのスケッチ』 - logical cypher scape2

    CiNii Articles 検索 -  現代存在論入門 著者が計画している『現代存在論入門』(仮題)という著書の「スケッチ」ということで、プロトタイプになるような原稿が公開されている。 普通の文章に混ざって、ヨシオ、ノリコ、タカシの会話文が挟み込まれるスタイルで書かれている*1。 序論から第九章までが構想されており、第一部では第一章と第二章、第二部では第三章と第四章、第三部ではおよそ第五章と第六章にあたると思われる部分が書かれている。 第一部 まえがき 存在論は形而上学の一部であると位置づける。ただし、形而上学の核心部分である。 何故存在論入門が書かれる必要があるのか。 (1)日語で書かれた適当な書物がないから。 (2)日で存在論というとハイデガーがイメージされることが多いが、そのような傾向を払拭したいから。 (3)哲学への手引きとして存在論がふさわしいから。 (4)存在論は、哲学と

    倉田剛『「現代存在論入門」のためのスケッチ』 - logical cypher scape2
  • 橋元淳一郎『時間はどこで生まれるのか』 - logical cypher scape2

    このは熱い! 200ぺージもない、薄いだが、哲学的熱意(?)がこもっている。 何が熱いかというと、物理学について語りながらも、自らの哲学的立場をかなり強調していること*1。 性質が実在するか、ということは、長らく哲学的議論の的となっていたわけで、いまだに続いている。 そもそも、性質が実在するかどうか、という問い自体が、僕にとっては非常に分かりにくいのだけど、しかし、モノが性質の束であると考えるのであれば、結構重要な問題かもしれない。 それはともかく、性質が実在するかという問いに対して、大きく分けて、実在論と経験論という2つの立場が在りうる。 科学哲学の世界では、この対立というのはなかなか盛り上がるわけだけど、現役の物理学や自然科学の世界で、この対立がどれくらい重要視されているのかよく分からない。というか、あまり問題にされていない気がする。個人的な勝手なイメージとしては、物理学者は潜在的

  • 『けいおん!』 - logical cypher scape2

    映画館行ったら、ちびっこもいるし、女性客もいるし、公開から一ヶ月以上たってるのに客の入りもいいし、「こ、これが社会現象か」とびびったりしたw 話には聞いていたけれど*1、見るまでは信じられなかった。というか、『けいおん!』は確かに面白いけれど、やはり萌えアニメというジャンルに属するものだと思うので、無論萌えアニメを萌えアニメとして楽しむ女性もいるだろうけれど、やはり男性オタク向けであって、それ以外の需要がどこにあるのかが分からないのである。 まあ、そういう話は置いておいて、けいおんファンとしてはとても楽しめる映画だった。 特典がもらえるというのがなかったとしても、リピーターが続出してもおかしくないなあという感じ 冒頭の「音楽性の違いで解散」ごっこから、笑ってしまった。けいおん見るのが久しぶりだったので、「けいおんってこんなんだったよな」というのと「けいおんってこんなに笑いながら見るものだっ

    『けいおん!』 - logical cypher scape2
  • 『背景から考える――聖地・郊外・ミクスドリアリティ』 - logical cypher scape2

    『アニメルカ』に何回かにわけて掲載されてきた、みよじ・はるを・よしたか、tricken、反=アニメ批評による座談会を一冊にまとめたもの。 さらに、『マイマイ新子と千年の魔法』の監督と、『けいおん』の高校のモデルとなった豊郷小学校がある豊郷町産業振興課の方へのインタビュー、さらにはるをさん、trickenさんのそれぞれの論考が加えられている。 豊郷の話は、知らないことが色々あって面白かった。 飛び出しJKはネットで画像見たことあったけど、飛び出し坊や知らなかったし 何より驚いたのは、豊郷が丸紅や伊藤忠商事の創業の地だということ。 座談会は、第一幕、幕間1、第二幕、幕間2、Extra、第三幕の6つのパートに分かれている。 第一幕では基的に、『耳をすませば』が中心に語られる。 聖蹟桜ヶ丘という街についての解説、宮崎作品における郊外の描かれ方と耳すまでの描かれ方の相違。 それから、場所と移動の話

    『背景から考える――聖地・郊外・ミクスドリアリティ』 - logical cypher scape2
  • 斎藤環『キャラクター精神分析』 - logical cypher scape2

    これまで出てきたキャラクター論のまとめをしつつ、斎藤環なりのキャラクターの定義を提案している。 個人的に、斎藤環のキャラクター論というのは以前から気に入っていて、このも面白く読んだ。 斎藤環の文章というのは、そこかしこにラカン派の言葉が出てくるため、そこで引いちゃう人もいると思うのだが、僕自身ラカンは斎藤環を通じてしか知らないけれど、それでも読めてしまうところがある。斎藤環の思考のフレームワークというのは確かにラカン派精神分析がなければ成り立たないのだが、しかし、彼のキャラクター論自体はラカン派の理論抜きでも理解可能なものとして出来ているのではないかと僕は思う。 このにも、無論精神分析の言葉は出てくるのだけど、の組み立てとしては、マンガ、小説、アートなどのキャラクターについての言説を読みながら、論を進めるものとなっている。 第1章 「キャラ」化する若者たち スクールカーストとかいじ

    斎藤環『キャラクター精神分析』 - logical cypher scape2
  • 村上裕一『ゴーストの条件』 - logical cypher scape2

    ゼロアカ道場優勝者である村上裕一によるデビュー作。 これで長きにわたったゼロアカ道場企画も当に終結したと言える。 キャラクターというものが現代オタク文化の中で拡散している様をゴーストという概念で捉え直し、そのリアリティを批評している。 三部構成で成っており、第一部はアイドル論から接ぎ木する形でキャラクターについて、第二部は2chやニコニコ動画における創作からゴーストについて、第三部はノベルゲームなどの作品論を通じてキャラクターの生について論じられている。 なんだろうな、自分だったら絶対こうは書かないだろうとも思うのに、それから取り上げられている作品についても知らない*1ものの方が多いのに、すごく共感してしまうというか、考えていることが似ていると感じるところが多かった。 そういう意味で実に刺激的であった。 明晰さを追求する哲学・思考を触発する哲学 - Togetter というのがあって、

    村上裕一『ゴーストの条件』 - logical cypher scape2
  • 宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 - logical cypher scape2

    まず全体的な感想としては、面白かったし、方向性としても納得というか共感した。 しかし、読みながら、色々と批判したくなってくるのは何故なんだろうか。 とりあえず、以下、こののまとめと読みながら思った事を書いていくつもりだが、その中には「ここがおかしい」というものも含まれる。ところが、色々考えていると、それって単なる重箱の隅を突いているだけのように思えてしまう。重箱の隅つつきは面白くないよな、と思うので、あんまりしたくないのだが、何故かそういうものばかりが、読んでいてチラチラと頭をよぎるのである。 これは、このが、読んでいて自分のことを批判されているような気分にさせられるだからではないか、と思う。 重箱の隅を突きたくなるのは、図星だからなのであろうか。一方で、いや別に、この批判は俺のことを言っているわけじゃないなんだから、そんなに焦らなくても大丈夫、と思ったりもする。 それから、あとでも

    宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 - logical cypher scape2
  • 後藤和智『おまえが若者を語るな!』 - logical cypher scape2

    これは、悪口が書いてあるである。 その相手は、主に宮台真司と、著者が「宮台学派」と呼ぶ人たちである*1。 これは僕は、宇野常寛にも感じたことなのだが*2、よくもこんなに悪口を言うために、これだけを読めるなと思う*3。 その一種の負のエネルギーはすごいな、と思う。 ただし、後藤の場合、何故そういうことをしているのか、という目的がわりとはっきりしているし、僕としては、後藤の抱えている問題意識というのは理解できているつもりだ*4。 それでは、そこから翻ってみて、このはその目的を達成しうるのか、ないしその問題意識を読者に理解してもらえるのか、というと実はなかなか疑わしいと思う。 上述したとおり、このは悪口のである。 悪口ばかりが書いてあって、あまり生産的ではないのである。 場合によっては、罵倒が芸風の芸人がまだ1人出てきたな、と思われて終わりかねない。 というわけで、今後、どれだけ生産的

  • 2010-07-22

    何故今?って感じですが、行くことができなくて人に頼んでおつかいしてもらったものを、最近手に入れたので。 『アニメルカ』 雑誌制作に至る過程が語られる第0章の座談会が、楽しい。こういう楽しい雰囲気が同人誌制作の醍醐味だと思うけれど、これだけの人数で、なおかつ基的にはtwitterとustを介した繋がりで、実際の制作にこぎつけたのはまずはすごいことだと思うし、この『アニメルカ』という冊子の魅力だと思う。 雑誌タイトルをつけていくときのtwitterの威力はすごい。そして、criticaloidアニメルカというキャラクターが、またいいなあと思う。表紙を含めて、それぞれ描き手の異なるアニメルカのイラストが複数枚入っているのだが、全て見た目がバラバラなのである。ボカロよりもさらに同一性の希薄なキャラであり、今後どうなっていくのかさっぱり分からないけれど、今後の展開をとても注目している。 内容である

    2010-07-22
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