多くのストレスにさらされる現代社会において、恒常性(ホメオスタシス)の乱れによる「現代病」が急増しています。恒常性は自律神経系によって調節されます。自律神経系のなかでも、交感神経と副腎は特に重要な組織です。しかし、これらの臓器の機能(の異常)がどのようにして「自律神経失調症」や「ストレスに強い(弱い)体」に結びつくのかはほとんどわかっていません。その理由として、交感神経系の成り立ちのしくみが全く解明されていないことが考えられます。 このたび、高橋淑子 理学研究科教授および斎藤大介 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科助教は、モデル動物であるニワトリ胚の遺伝子操作を用いて、個体発生過程における交感神経系の形成機構を解明しました。この研究成果は、6月22日号の米国学術誌「Science」に掲載されました。 研究内容 初期発生過程において、交感神経系と副腎は同じ前駆細胞からつくられ