イギリス人というのは、妙なクリエイティビティを持っているように思う。現実を合理的に突き詰めると、常識を超える方策が現れる。『債務、さもなくば悪魔』のアデア・ターナーは、業界出身の元金融サービス機構長官だ。官民の巨額に膨らんだ債務は、金融自由化の産物であり、中央銀行が受け容れざるを得ないものだと主張する。それが無利子・無期限の国債なら、ヘリコプター・マネーと呼ばれ、超低利・超長期の国債なら、金融政策の範囲内とされるだろう。 ……… 本コラムが使う格言に「金持ちにするのは簡単だが、豊かにするのは困難だ」がある。もし、日銀が全国民の口座に1000万円を振り込むならば、すぐにも、日本を金持ちの国にできる。しかし、国民が預金通帳の数字を眺めて楽しむのみならず、引き出して使おうとすると、財・サービスの供給能力に変わりはないのだから、需給の逼迫でインフレが発生し、お金の価値が消えるだけで終わる。ゆえに、
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