2015年に重い知的障害を持つ子供(当時15歳)が東京都八王子市の施設から抜け出し、死亡した事故の賠償を巡り、施設側が将来の収入にあたる「逸失利益」を認めなかったのは不当だなどとして、両親が14日、施設を運営する社会福祉法人藤倉学園(東京都江東区)に約8800万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。 訴状によると、同市の障害者施設に入所していた松沢和真君は15年9月、無施錠だった玄関から外出。高尾山に連なる山中で遭難し、同年11月、遺体で見つかった。施設側は過失を認め、両親側に慰謝料2000万円の支払いを提案したが、逸失利益は認めなかった。 両親側は「知的障害を理由に賠償額を低額にするのは差別にあたる」と主張。遺失利益を一般男性の平均賃金を基に約5000万円と算定した。提訴後に記者会見した父親の正美さん(60)は「施設側は障害者の命を軽く考えていると感じた。命の差別の是正につながる