その中心にある三角公園から北東方向を撮影したのが『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』の表紙写真だ。右奥にひときわ高くそびえているのが地上300メートル、日本一の高さを誇るビル「あべのハルカス」。左側に壁のように見えるが大阪市立大学医学部附属病院、そのすぐ向こう側は大阪市立天王寺動物園である。 土地勘のない人にもわかってもらえるだろう。あいりん地区は多くの市民が憩う場所から目と鼻の先にある街だ。しかし、大阪市民の多くは、その名を知っていても、足を踏み入れたことはないはずだ。わたしもその一人である。この本を読めばわかる、ここは大阪の魔境なのだ。 段ボール村から西成へ 東京でいえば山谷にあたるのだろうか。しかし、筑波大学を7年かけて卒業し、就職しそこねたライター志望の國友クンは、東京からわざわざ西成へ取材に遣わされたのだ。このような場所はもう西成にしか残っていないのかもしれない。ちなみに、駆け出し
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