世の中にはアファーマティブアクション(AA=積極的差別是正措置)というものがあり、これがまたよく非難されるそうな。「逆差別だ」とかなんとか。とりあえずアメリカの大学の話をするけれども、「アフリカ系アメリカ人枠」というのがあって、(特にヨーロッパ系が)「不公平だ」と反対するらしい。この「アフリカ系アメリカ人枠」が存在しなければ、その大学に入れたはずの人があぶれてしまうから。 ミクロな視点からは一見もっとものような気がするが、ちょっと考えるとそうでもない。アフリカ系アメリカ人がヨーロッパ系アメリカ人に比べて不利な立場に置かれているのは周知の通り。だからAAは、特定のグループを優遇することで、そのグループの置かれた状況を少しでも改善していこうという政治的な意志のあらわれ――それだけなのだろうか? 社会全体で見てみよう。AAは少数派を優遇する。なんのために? 少数派が現に差別され、不遇をかこつ状況